裁判員「辞退」の現実と説明責任

     裁判員への就任を辞退する人が今や3人に2人という現実を取り上げて、「裁判にゆかりのある人」に語らせる企画を掲載しています(11月18日付け朝日新聞朝刊オビニオン面「耕論 裁判員 なぜ辞退」)。正直なことをいえば、このタイトルを見ても、推進派「朝日」のこれまでの論調を知っているだけに、制度の現実に対する捉え方の変化を期待したといえば嘘になります。むしろ、関心はハナから「朝日」がそれを変化させず、これまでのスタンスのなかで、このテーマをどう扱うのか、どういう風に読者に伝えようとするのかにあったといっていいと思います。

     そういう意味で、皮肉な言い方をすれば、この企画は予想通りであり、期待通りのものだったといえます。そもそも「なぜ辞退」という問いかけの企画ですが、その人選はその本音を引き出す対象であるはずの「辞退者」は一人として登場していません。「朝日」が語らせているのは、裁判員経験者の小平衣美さん、裁判傍聴芸人の阿曽山大噴火さん、法社会学者の飯孝行・専修大学法学部准教授の三人です。

     小平さんは、推進する側がかねがね注目させようとしてきた「やってよかった」経験者から選出されたような方で、検察官から言われた裁判員制度が犯罪抑止につながるという論を正面から受けとめた方です。飯准教授は、この制度でもたらされた市民参加の効用と、わが国同様に高い辞退率に悩みながら取り組む諸外国の姿に触れ、「官民協働で制度を育てていく」ことを願う、どこから見てもバリバリの推進論者です。その意味では、阿曽山さんだけが前記お二人に比して、中立的な立場の方のようにとれ、そこで「朝日」的にはバランスをとっているような体にしているのもしれません。

     この企画で「朝日」は、彼らの言から何を「なぜ辞退」に結び付けようとしているのか――。その視点からみると、非常に違和感を覚えたのが裁判員広報・報道と守秘義務の扱いです。広報・報道に関して、小平さんは制度開始当初から「裁判員=つらい、苦しい」とのイメージは変わっていない、制度が社会にもたらしたものがもう少し報道されるべき、としています。また、飯准教授は、裁判所が裁判員の任務のイメージをもっと示し、不安解消に努めるべきで、負担感ばかりを強調する報道の在り方に疑問を投げかけています。

     一方、守秘義務については、阿曽山さんと飯准教授が言及し、守秘義務の線引きの曖昧さや誤解が、経験を発信したい経験者を孤立化させるとともに、逆に聞きたくても聞けない状況が制度や参加への要因になっているという認識にとれます。

     つまり、ここに共通するのは、制度そのものの無理や推進者側がその意義を説明しきれない現実があるのではなく、伝達の阻害要因が除去されて、「やってよかった」の体験や制度意義への理解が進めば、「辞退」は解消に向かうはずである、という見方です。そして、それはまさしく相変わらずの制度肯定派の希望的な想定の刷り込みにとれるのです。

     そもそも事実認識として、裁判員広報・報道は制度の足を引っ張ってきたという話になるでしょうか。むしろ、お決まりの参加の意義と「誰でもできる」参加イメージを繰り返し伝え、世論が参加にはっきりした敬遠傾向がある制度にあって、意図的に裁判員が抱えることになる現実の重さ、つまりは推進に不都合な点を伝えていなかったのではないでしょうか。そう考えれば、伝えられなかった現実がはっきりすればするほど、つまり制度の本質を理解すればするほど、市民の参加への気持ちは離れていっているとみることもできます(「伝えられていなかった裁判員制度のツケ」)。

     「やってよかった」体験は、そもそも体験者の自己肯定的なバイアスを加味して評価すべきという意見はありますが、裁判員経験者にとって、守秘義務の負担が現実のものであったとしても、肯定的体験の共有だけで、根本的な「辞退」の歯止めとなり、参加を促すとみること自体、推進者にとって都合のいい見方にとれます。

     その意味で、この企画の中で、阿曽山氏だけが、この制度とその推進にかかわる根本的な疑問に言及しています。

     「そもそも、なんで裁判員にならなきゃいけないんですかね。国民が司法に参加する意義って?裁判に市民感覚を反映される必要性は?司法と国民の距離が近くなれば、冤罪がなくなったり、犯罪が減ったりするんですかね。その根っこの部分を、納得できるように答えてくれる人がいない。謎ですよ」

     制度に対する説明責任という括り方になるかもしれません。ただ、問題はそれを果たしていない、といよりも、もはや果たせないのではないか、という点にあります。制度の経験が共有されたり、報道や広報の在り方を変えて、あたかも制度の真実がちゃんと伝われば、阿曽山さんが挙げている疑問は氷解していく――。もはや、そんな見方に立てるのでしょうか。繰り返されてきた、あるいはこれからも繰り返されるだろう、市民感覚の反映の意義、冤罪や犯罪防止への効用といったお決まりの意義の説明では、納得できない。納得できる見通しにも立てないというのが、阿曽山さんが「謎」と表現した現実ではないでしょうか(その阿曽山さんの見出しが、その点ではなく、「守秘義務も尻ごみの一因」ととられているところも「朝日」の工夫ですが)。

     ああすれば、こうすれば、という提案だけで、核心部分の答えは延々と得られない。そこに、説明責任はもはや果たせない制度の現実を読みとるのは、自然なことではないでしょうか。

     この裁判員制度には、強制化という問題が張り付いています。ただ、阿曽山さんも言うように、出頭拒否者に対して罰則はあっても、適用はされていない。その理由は、端的に言って制度に国民が背を向けている現実があることです。強権発動がさらに反発を招く、また当面一定数の出頭数が確保できるならば、それを回避しても制度がもつ、という事情が、制度の強制化を建て前のものとさせているのです。そして、今後、仮に出頭率がさらに低下したとしても、もはや推進派大マスコミも、おそらく「国民に制裁を科せ」と主張するのは不可能という見方になっているのが制度の現実です(猪野亨弁護士ほか「マスコミが伝えない裁判員制度の真相」)。国民の反発を恐れて、自ら掲げた強制化を建て前のものにしている制度について、いずれ誰かが納得のいく説明をしてくれると考える方が不思議です。

     「なぜ辞退」という問いかけの企画のなかで、結局、「朝日」は巧みに説明責任を果たすことが困難な制度の本質から、読者の目をそらさせています。そして、裁判員制度に限らず、法科大学院制度や法曹人口増員、あるいは法テラスにしても、「改革」の現実に対する説明責任や結果責任の追及を極力回避させる応援団たちの論調が、果たして事態をよい方向に導こうとしているのか――。私たちは、そのことを考える必要があります。


    弁護士、司法書士からみた、法テラスの現状の問題点について、ご意見をお寄せ下さい。司法ウオッチ「司法ご意見板」http://shihouwatch.com/archives/6046

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    テーマ : 刑事司法
    ジャンル : 政治・経済





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    マスコミは残念ながら広告主の味方です

    「裁判員制度タウンミーティング」は最高裁と新聞メディアと電通の「やらせ」だ - 内部資料でわかった恐るべき「共謀」の事実

    http://blog.goo.ne.jp/taraoaks624/e/6f9ca2b367c55ec2899f4d5fad8606e8

    「魚住昭 週刊誌の現場から 緊急寄稿 新シリーズ・スタート! 裁判所がおかしい 週刊現代2007.2.24号」より全文引用

    (注)現在入手可能な刊行物は、魚住昭『官僚とメディア』(角川書店 角川ONEテーマ21)ISBN978-4-04-710089-3 741円 裁判員制度に限らず、官僚とメディアの癒着に関する書籍です。河野さんと並ぶ、尊敬すべき本物のジャーナリストです。アマゾンのカスタマーレビューの評価も高い。なお、私は一読者であり、ステマではありませんので、念のため。


    ・・・・・・・・・
    「パブ記事」という業界用語をご存じだろうか。一般記事の形をした偽装広告のことだ。質の悪い企業が読者をダマして新商品を買わせようとする時に使う手口である。失礼ながら、引っかかった読者は本物のエサと信じて毛針に食らいついた魚のようなものだろう。
    当然ながら新聞社や雑誌社ではこうしたパブ記事の掲載を禁じられている。記事の客観性・中立性に対する読者の信頼を決定的に損なうことになるからだ。

    ところが、こともあろうに最高裁が広告代理店『電通』と結託し、巨額の広報予算をエサに世論誘導のためのパブ記事を、全国47の地方紙に掲載させていたことが、最高裁や電通の内部資料で明らかになった。最高裁の狙いは情報操作で、裁判員制度を積極支持する世論を形成することだ。国民をダマして国策を受け入れきせる大がかりな仕掛けが明らかになったのである。

    いきなりそんなことを言われてもにわかに信じられない。多くの読者はそうお思いだろうから、できるだけ分かりやすく、順を追ってご説明したい。
    最高裁は全国各地で地元紙の共催により「裁判員制度全国フォーラム」というタウンミーティングを開催している。そのうち『産経新聞』大阪本社と『千葉日報社』がそれぞれの地域でアルバイトの「サクラ」を大量に動員していた事実が1月29日、分かった。そのことがきっかけだった。

    このニュースを聞いて疑問が浮かんだ。なぜ、産経は参加費無料、収益ゼロのシンポジウムに自腹を切ってまで大量動員したのか。もしかしたらサクラの出費を補って余りある見返りがあるからではないか――。

    結論から言うと直感はあたった。入手した内部資料から浮かび上がったのは、マスコミ界のタブーとされる電通と霞が関の癒着構造だった。そこに全国の地方紙と、私の古巣でもある共同通信が元締めとして加わり、「四位一体」で国策遂行のための世論誘導プロジェクトが、8年前から水面下で進行していたのである。

    東京・新橋のビルの一室に『全国地方新聞社連合会』(地方紙連合)という団体の事務所がある。この団体が99年秋に設立された経緯を教えてくれたのは、ある地方新聞の編集幹部だった。
    「不況で広告が集まらなくなって地方紙の経営状態が悪くなったのが発端です。そのとき電通新聞局が主導して巨額の政府広報予算を地方紙に回すために作った組織が地方紙連合だった。だから裁判員制度のフォーラムは、地方紙連合が電通経由で各省庁から受けた仕事の一つに過ぎません」

    産経と千葉日報のサクラが発覚した直後『西日本新聞』や『河北新報』など3社でも他省庁関連のフォーラムにアルバイトを動員していたことが発覚した裏には、こんな事情があったのである。編集幹部が続ける。「地方紙連合に集まった地方紙の東京支社の営業部長クラスが政府広報獲得のため持ち回りでチームを組み、各省庁を手分けして受け持っていた。省庁側との情報交換の中でテーマを決め、シンポジウムを開いたりと、政府広報予算を獲得するための方式はいろいろあったようです」

    この編集幹部の証言によると、政府が世論形成をしたい場合に行うシンポでは省庁側から①シンポの模様を伝える特集には「全面広告」のノンブル(断り)は打たない②紙面に「広告局制作」といった表現も認めない、 という条件がつけられた。

    政府広報と分かると広告効果が格段に減る。世論形成のためにはパブ記事でなければならぬというわけだ。それでも当初は地方紙側から「せめて<広告局制作>の表示を出したら」という意見も出たが、押し切られ、パブ記事が横行するようになったという。

    2年前、『週刊朝日』が消費者金融の『武富士』から「編集協力費」名目で5000万円の提供を受けて記事を作りながら、武富士とのタイアップ企画と明記していなかったことが明らかになった。その教訓がありながら、大多数の地方紙が報道機関として越えてはならぬ一線を越えたのは、政府広報が企業広告のように値切られる心配がない、「おいしい仕事」だからだ。

    では、そのカラクリを具体的に見てみよう。
    フォーラムの開催が決まると、共催者の地元紙は、まず開催告知の「社告」を掲載する。
    次に最高裁による、フォーラムの「予告広告」(5段=紙面の3分の1)を2度、有料で掲載する。3番目は、フォーラム開催を伝える社会面用の記事を載せる。記事なので無料だ。
    最後が、フォーラムの詳細を伝える10段(紙面の3分の2)の特集記事と、最高裁の裁判員制度についての5段広告。広告はもちろん有料だが、併せて掲載される10段の特集記事は前出の地方紙編集幹部が言うパブ記事である。05年度、全国47紙の地方紙を使い、フォーラムと広告と記事を抱き合わせた世論誘導プロジェクトに使われた税金の総額は3億数千万円である。

    私の手元に、05年度の裁判員フォーラムの新聞記事をまとめた最高裁の資料がある。ページをめくると、全国50ヵ所で開かれたイベントの詳細を伝える特集記事が、全て10段で構成されている(166~167ページ上段写真参照)。
    全紙が同じ規格で詳報を載せているのは、あらかじめ電通から特集10段・広告5段と指定されているからだ。本来この10段特集には「PR」もしくは「政府広報」の表記がなければならないが、そうしているところは1紙もない。

    さらに昨年12月1日付で、電通が最高裁に提示した「平成18年度 裁判員制度タウンミーティングの企画及び企画実施業務」という見積書も入手した。
    その中には「全国地方新聞社連合会加盟紙 15段分(5段×3回)掲載料金 内訳」と題された一覧表が掲載されている。例えば「産経新聞大阪本社朝刊セット版(大阪)」の欄を見ると、「段単価 51万7500円」「15段価格 776万2500円」とある。
    つまり裁判員制度フォーラムが1回開かれれば、産経新聞大阪本社には5段広告3回分の料金として、800万円近いカネが入る。サクラ一人あたり5000円の日当を払っても十分儲かる仕組みなのだ。

    電通が最高裁に提出した契約書に添えられた「仕様書」も紹介しよう。そこには、このカラクリに秘められた本音が、あからさまに語られている。
    「最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、主催新聞社(各社、全国地方新聞社連合)、共同通信社、電通が一体となり、目的達成に向けて邁進する」

    この一文を見て、私は戦時中の国家総動員体制の中核を担った同盟通信社を思い出した。同盟通信は36年に日本電報通信社の通信部と新聞聯合社が合併して発足した国策通信社で、国民の戦意高揚や情報統制の手段として大きな力を発揮した。敗戦後、その同盟通信が分かれて発足したのが共同通信と時事通信だ。
    一方、36年の同盟通信発足時に日本電報通信社から切り離された広告部門が、現在の電通だ。つまり同盟通信の後身である共同通信と電通、さらには地方紙と裁判所が一体となって仕組んだ「国策遂行プロジェクト」が、裁判員制度フォーラムの裏の顔だったのである。

    こうした指摘に当事者たちはどう答えるのか。
    「裁判員制度を多くの国民に理解してもらい議論を深める」ことを目的に企画提案したもので、事業は通常のクライアント業務と認識している」(電通広報室)
    「電通からの提案ではなく、共同通信加盟社からの要請を受けて協力している。記事は国民の関心を高め広く議論する材料を提供する狙いで、ご指鏑のように制度に協力したものではない」(共同通信社総務局)
    「情報操作だというのは貴誌の意見なので、こちらからのコメントは差し控える」(最高裁公報課)

    しかし、「仕様書」にはこうした記述もある。
    「各地方新聞社の報道部門と連携することで、制度に対する正しい理解を促進し、今後、制度についての情報発信を行っていく上での効果が期待できる」
    「コーディネーターとして地元新聞社の論説委員・編集関係者等を立てることで、司法および裁判員制度に対する正しい理解にもとづく、前向きな地域世論の醸成を図る」
    「共同通信社の主催する論説研究会や編集部長会議、支社長会議などにおいて裁判員制度に関する勉強会を行い、新聞社の編集関係者の意識を高めてもらい、執筆意欲を喚起する」

    つまりは、一般読者ばかりか、地方紙の幹部たちをも巻き込んで大衆を操作する一大システムの構築が目論まれており、そのなかで扇の要のような役割を果たしているのが共同通信と電通なのである。
    このカラクリを使った詐欺的プロジェクトを十分認識しながら、電通と手を結んで税金を地方紙に垂れ流していたのが最高裁であることはいうまでもないだろう。

    国会でこの問題を追及する保坂展人代議士が最高裁に電通を選んだ理由を聞くと、「正規の広告のほかに地方紙の編集権に基づいた(無料の)事後記事が掲載されることが決め手になった」と答えたという。
    つまり、記事を偽装した広告(パブ記事)で世論を誘導する仕掛けを最高裁自身が十分認識していたということだ。
    裁判員制度の是非を国民が主体的に判断する機会は、こうして奪われつつある。

    ----------------
    ●裁判員フォーラム、コンペ参加3社の見積額ぴたり一致
    asahi.com.2007年02月20日08時00分

     契約書作成前に事業を始める不適正な「さかのぼり契約」が発覚した最高裁主催の「裁判員フォーラム」の企画競争で、選定された電通以外の4社すべてがほぼ横並びの見積もりを提出していたことがわかった。うち3社は1円単位まで同額の不自然な結果で、小池裕・最高裁経理局長は「金額がどうして一致しているかは、私どもは承知していない」と答弁した。19日の衆院予算委員会で、保坂展人委員(社民)が最高裁から入手した資料をもとに指摘した。

     資料によると、05年10月から始まったフォーラムの契約は、企画競争を勝ち抜いた電通が約3億4120万円で受注。ところが、競争に参加したほかの4社の見積額は約800万円違いの3億4900万円台で一致。しかも、うち3社は3億4965万円ちょうどの同額だった。

     さらに最高裁は、フォーラム以外でも(1)裁判員制度の啓発のため、女優の仲間由紀恵さんを起用した新聞・雑誌広告などの契約(約6億円)も、契約書作成前に実際の事業を始める「さかのぼり契約」だった(2)すでに完成を発表した裁判員制度広報映画「裁判員」については、請負業者との契約がまだ済んでいないことを認めた。

     小池局長は「契約書を作成せずに事業遂行するのは好ましくない。不慣れな広報という仕事の難しさの中で事務の混乱があった」と陳謝した。

    ---------------
    ●最高裁が公文書偽造疑惑
    2月18日10時0分配信 日刊ゲンダイ(Yahoo!ニュース)

     最高裁が全国各地で開催した「裁判員制度」のタウンミーティング(TM)。共催の産経新聞と千葉日報がアルバイトの“サクラ”を動員したことが発覚したが、新たな疑惑が浮上した。
     TMは昨年10月1日に始まったが、業務を請け負った大手広告代理店と最高裁が交わした契約書の日付は、その前日の9月30日。業務を丸投げしておいて、後から業者の言い値の請負代金を記入して契約書を交わす「さかのぼり契約」の可能性が指摘されているのである。
     さかのぼり契約は内閣府のTMでも問題になっている。そこで社民党の保坂展人議員が、14日の衆院予算委で「まさか最高裁はやっていないでしょうね。契約書の日付は9月30日で間違いないですか」と質問したところ、とんでもない答えが返ってきた。
     小池裕・最高裁事務総局経理局長は「9月30日より後にその契約書面を作った可能性が高いととらえています」としどろもどろになりながら答弁したのだ。
     保坂議員は「事実なら無契約状態でTMが行われたことになる。契約書は公文書で、変造すれば犯罪になりかねない」と指摘している。最高裁が不正をやっていたとすれば、大問題になりそうだ。

    No title

    「ペーパー一枚を送り付ければ、相手を簡単に動かせる。」
    と本気で思っているところに、裁判所関係者の思い上がりが感じられます。

    そういえば、電通がらみで裁判員制度の広告のための契約書を作成しなかったため、最高裁の書記官がバックデートの契約書を作った、というスキャンダルがありましたが、あれはそのままうやむやにされてしまいました。

    最高裁が法律を無視していれば、国民が法律に従順に従うはずもありません。
    プロフィール

    Author:河野真樹
    司法ジャーナリスト。法律家向け専門紙「週刊法律新聞」の記者・編集長として約30年間活動。コラム「飛耳長目」執筆。2010年7月末で独立。司法の真の姿を伝えることを目指すとともに、司法に関する開かれた発言の場を提供する、投稿・言論サイト「司法ウオッチ」主宰。http://www.shihouwatch.com/
    妻・一女一男とともに神奈川県鎌倉市在住。

    旧ブログタイトル「元『法律新聞』編集長の弁護士観察日記」


    河野真樹
    またまたお陰さまで第3弾!「司法改革の失敗と弁護士~弁護士観察日記Part3」
    河野真樹
    お陰さまで第2弾!「破綻する法科大学院と弁護士~弁護士観察日記Part2」
    河野真樹
    「大増員時代の弁護士~弁護士観察日記Part1」

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