「弁護士等」へ拡大される本当の意味

     11月20日開催の法曹養成制度改革顧問会議の第13回会議提出資料として挙げられている法務省まとめの「活動領域拡大に向けた取組に関する論点整理」を見ると、二つのことに改めて気付かされます。

     ひとつは、この活動領域を拡大する対象として、この文面に散りばめられている「弁護士等」という言葉。これが何を意味するのかは、改めていうまでもありませんが、要は「法曹有資格者」という拡大した対象を意味するということです。

     「弁護士を含む法曹有資格者」という表現を時々、目にしますが、この言葉が意味するところを、より正確にとらえるとすれば、「弁護士に限らない法曹有資格者」と読むべきかもしれません。弁護士は「法曹」ですが、「法曹有資格者」には非法曹が含まれます。つまりは、「法曹」の「活動領域の拡大」の議論は、それ以前に、いつのまにか対象そのものが拡大されている、ということになります(「『法曹有資格者』への変化」)。

     この論点整理では、ニーズの「把握と対応策」、「人材の確保・養成」、「効果的引き合わせ」に分けて、「これまでの取組」と「見えてきた課題」について、それぞれ提起していますが、「弁護士等」ははっきりと後者に登場します。後者のなかで、一部「弁護士」と「弁護士等」の意図的な使い分けがなされているととれるところは、興味深いところですが、いずれにしてもこれをまとめた側が、今後の活動領域拡大の対象を「法曹有資格者」としてとらえていることは、はっきりとうかがえます。

     そして、この論点整理でもうひとつ、改めて気付かされることは、その拡大取り組みの方向として想定されているのが、その分類でも分かるように「国・自治体・福祉」「企業」「海外展開」であるということです。弁護士に限らない拡大された「有資格者」たちに用意されているだろう活動の場は、まさにここである、という想定に読めます。

     弁護士を「使い勝手」のよいものにする、とりわけ、経済界のその要求を背負うことになった「改革」が行きついたのが、結局「法曹有資格者」なのではないか――。こうしたとらえ方をしている業界関係者の声を耳にします。弁護士登録無用、司法修習無用という、経済界にある潜在的要求を、堂々と満たし、弁護士会の監視も、弁護士法の使命も、あるいは在野精神も独立も、事実上排除できる形を、彼らが手にすることになる。まさに彼らの「改革」の貫徹です。さらにそれは、弁護士の就職難、弁護士会の会費の負担という志望者敬遠要素を切り離して、修了者・有資格者の社会放出を確保して法科大学院制度を存続させたい側の意図とも合致するとみることができます。

     「司法修習を受けない、弁護士登録もしないということは、弁護士法の適用を受けないということです。ということは弁護士の使命として書かれている基本的人権擁護など考えなくて良いということです」
     「彼らは、企業の利潤を追求する立場に立って、仕事をおこなうことになります。企業は賃金の安いところ、労働基準法などないところに生産拠点を作り、そこで搾取・収奪する。その際、現地に赴く法曹有資格者たちはなにをするかというと、現地の人たちを抑え込み、搾取・収奪の手伝いをするということです。そんなものは人民のための法律家であるはずがありません」(武内更一弁護士「『司法改革』の破綻と『法曹有資格者』制度の狙い(2)」)

     武内弁護士の危機感が、弁護士会のなかで一般的かといえば、そうとはいえません。むしろ日弁連・弁護士会の主導層、あるいは「改革」推進派は危機感どころか、「業務拡大」ということの前に、不思議なくらい「非弁護士」への「拡大」が意味するところにこだわる風がないようにみえます。自治体ニーズにしても、「公益」という大義名分の前に、かつてのように権力との位置取りについてこだわらない弁護士の姿をみます(「福岡の家電弁護士のブログ」)。

     「弁護士だろうか『有資格者』だろうが、利用者にとっては便利ならばどちらでもいい」という括り方をする人がいます。ただ、それがどういう利用者にあてはまる話なのか。弁護士自治と弁護士法の立場から、武内弁護士のような危機感で、その先に待ち受けるものを真っ先に社会に提示してもいい弁護士会が提示しない現実を、私たちはこの「改革」で見ることになっています。


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    要するにパラリーガルみたいなものでしょうかね。

    中途半端な人材なので、待遇は悪かろう、運良く就職できても奨学金は返せない。それどころか生活できるレベルかも怪しい。人をコストとしてみる民間企業が積極的に採用するはずもない。役所で働くなら最初から公務員試験を受けた方が待遇も良く安定する。借金づけの役所が採用拡大をするというのも絵にかいたもち。すでに卒業から時間がたち年を取った卒業生は、使いにくいので、採用対象にならないだろう。要するに、食えない資格になるでしょう。こんなのを真に受ける輩がいるんでしょうか。

    法務省のお役人は、世間というものを全くご存じない。失敗しますよ、法科大学院と同じです。

    No title

    弁護士登録しなくても同じ仕事が出来るなら、弁護士会を叩き潰す絶好のチャンスだね。
    アホな会費払って弁護士やっている意味なくなるしね。

    もう任意加入団体でいいんじゃない?
    日弁連なんて。存在自体無駄だし。
    プロフィール

    Author:河野真樹
    司法ジャーナリスト。法律家向け専門紙「週刊法律新聞」の記者・編集長として約30年間活動。コラム「飛耳長目」執筆。2010年7月末で独立。司法の真の姿を伝えることを目指すとともに、司法に関する開かれた発言の場を提供する、投稿・言論サイト「司法ウオッチ」主宰。http://www.shihouwatch.com/
    妻・一女一男とともに神奈川県鎌倉市在住。

    旧ブログタイトル「元『法律新聞』編集長の弁護士観察日記」


    河野真樹
    またまたお陰さまで第3弾!「司法改革の失敗と弁護士~弁護士観察日記Part3」
    河野真樹
    お陰さまで第2弾!「破綻する法科大学院と弁護士~弁護士観察日記Part2」
    河野真樹
    「大増員時代の弁護士~弁護士観察日記Part1」

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