「弁護士の標的」という表現の現実性

     こういう表現を当たり前に目にする状況に、わたしたちは慣れつつあるのでしょうか。

      「成年後見、弁護士の標的に 預かり金着服相次ぐ」

     障害者や高齢者の財産を管理する「成年後見制度」で、選任された弁護士らが、預かった財産に手を付ける不祥事が全国で相次いでいることを伝える5月25日付け日本経済新聞朝刊の記事の見出しです。「弁護士の標的」という表現部分については、おそらく私が取材を始めた、今から30年くらいの前の弁護士会ならば、「弁護士業務に対する誤解を招く」などと、抗議しているところではないかという感じも過りました。

     この表現は非常に弁護士全体のイメージを悪く伝えるという意味で、そこに今でも悪意を読みとる人もいます(弁護士 小松亀一法律事務所ブログ)。「標的」とは、もちろん弁護士自らの利益のために、高齢者らの財産が「狙われている」というニュアンス。しかも、「悪徳弁護士」ではなく「弁護士」の標的というところも、あえて一般化しているととれなくありません。

     この見出しからは、およそ「救済」ということが伝わりません。弁護士が金銭をせしめるために「標的」を作る資格業であるところまでは、あたかも社会的な了解があるようにすらとれます。そうだとすれば、いつから弁護士は、そういう存在として、社会に認知されることになったのでしょうか。先日、「ハイエナ」という表現が、「過払いバブル」以降、弁護士によく被せられるようになった印象を持つと書きましたが(「『ハイエナ弁護士』という未来」)、「標的」という表現も、この「ハイエナ」のイメージに通じるものがあります。
     
     ただ、あえていえば、今回のような事態に対して、少なくとも一般市民の目線に立った場合、この表現が効果としてもたらす「一般化」の不当性を問題にできるのかどうかは疑問です。いうまでもないことかもしれませんが、こうした不祥事の多発が報告されている以上、弁護士「一般」に対する警戒が必要であることは当然であり、むしろそうするしか、市民は自分の利益を防衛できないともいえるからです。 

     つまりは「弁護士を見たらば泥棒と思え」。とりあえず、市民がまず、弁護士を警戒することの意味を否定できない。逆に「一般化」の不当性を弁護士が主張できるほど、不祥事がレアケースではなってきた。そのことを、弁護士はまず自覚しなければなりません。

      「法曹人口の増加に伴い、弁護士同士の競争が激しさを増す中、ある検察関係者は『生活を維持するために、顧客の金に手を付けた可能性もある』と推察している」

     前記日経記事は、現状をこう分析するコメントを引用して締めくくっています。ここで指摘される「改革」の先に現れた弁護士の経済的困窮と、それを引き金にした不祥事という図は、まさに弁護士「一般」を警戒しなければならない現在の状況として、読者に理解されておかしくないところだと思います。

     ただ、ここまで書くのであれば、この「改革」の先に、いつか市民が弁護士を警戒しないで済む未来があるのか、それまでの間、市民の努力で被害を回避することはできるのか、そしてさらにいえば、市民が求める一番の安全である「質」の確保を脅かしてまで、この「改革」が市民に利をもたらすものになるのか、本当は、そこが問い質されていいようには思うのですが。


    ただいま、「弁護士の質」「法曹養成制度検討会議の『中間的取りまとめ』」についてもご意見募集中!
    投稿サイト「司法ウオッチ」では皆様の意見を募集しています。是非、ご参加下さい。http://www.shihouwatch.com/

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    テーマ : 弁護士の仕事
    ジャンル : 就職・お仕事





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    No title

    一つ前のコメントだけど、元のコメントの一つ前のコメントも同じな。
    報道機関がわざわざ「弁護士は」というタイトルを付けているだけで、弁護士は自分達が特別と思っている訳ではないんだよ。
    他人のために「代理人になる」ということがどれほど倫理と責任感を要求するかという発言をするとラーメン屋が他人の口に入るものは、とか自動車工が他人の乗る車を、とか混ぜっ返すバカがいるから、建設的な議論にならないだけで。

    No title

    >是非とも、マスコミに、弁護士だからという理由でいちいち報道するな。
    >ラーメン屋の社会的脅威や自動車整備工の社会的脅威についても取り上げろと>言ってみてください。
    >鼻で笑われて無視されて終わるでしょう。

    これが、「なぜ弁護士は特別扱いなんですか?」という質問に対する答えなのですか?

    ただただ、呆れかえるだけです。残念なあなたに!


    良く読めよ。
    弁護士は特別扱いなんですか?というのはこっちが聞きたい台詞だよ。
    私の意見として、弁護士が特別扱いされる理由はないと一番最初に断ったろ。
    日本語が理解できないなら、人のこと残念とかいう前に自分の残念な理解力をなんとかしろよ。

    No title

    >既存業者の生活を守るために、試験の合格基準を決めちゃだめでしょう!

    ローを守るためだけに、非ロー卒枠を大削減し、いまも予備試験枠を不当に狭めてるのが司法改革ですよ。
    やはりあなたのご意見であれば、司法改革こそが真っ先に、かつ重点的に批判されるべきはずです。

    しかし、自分達の血税で賄われてる司法改革が、自分の意見と真っ向から食い違う政策を実行し続けているのに、そちらにはなぜかほとんど批判しない。
    それどころか逆に、司法改革批判派のブログにやってきては、必死で司法改革批判派を叩くばかり。

    No title

    報道が「弁護士の不祥事」を取り上げるのはなぜか?
    現実問題として、特別扱いしているのは報道機関でしょう。
    弁護士が自分達を特別扱いしているという事実があるなら、根拠を示すのが議論のスタートでしょうが、そこは敢えて通らないのかな?

    もう論争じゃなくて感情論だよね。
    まあ、三振法務博士が憂さ晴らしをしているだけなんだろうけど。

    知識不足

    >既存ラーメン店以上の能力を求めるのはおかしい

    既存弁護士さんの多くは、1000~500人の合格枠を勝ち抜いてきたのですが。
    中には末期旧試の、50人という狭き門を突破された方もいます。

    筋違い

    >既存業者守るために合格基準決めちゃだめ!

    まず、政府は需要増加を理由として大増員政策を実行しています。
    ですので、「需要増加はなく弁護士達は貧困に苦しんでる」というのは、有効な政策批判となります。

    あなたが、「需要の有無とか関係なくとにかく合格基準ユルユルにして競争!」との意見であれば、
    批判するべきはここで政策批判をしてる人達ではなく、政府となります。
    よって、あなたの書き込みは筋違いです。

    なお、こうしてわざわざ説明されないと自身の筋違いぶりが理解できないあなたは
    極めて知的に貧弱です。
    大至急、改善を。

    で、回答は?

    >それはそれで批判されるべき

    全く回答になってない。「批判されるべきか?」なんて聞いてません。
    理由を聞いてるんですよ。理由。弁護士には競争競争と必死に振りかざすあなたが
    国が莫大な血税かけ続けてやってる競争否定政策には、なぜほとんど批判しないのか??

    もし上記コメントで「理由の回答」をしたつもりになってるとしたら、
    あなたは日本語読解力小学生以下だということになります。
    ネットで他人と口論してる場合ではないですよ。

    なお私は、弁護士を特別扱いしろとは言ってませんが。

    No title

    >で、競争競争と振りかざしてる人が、競争否定政策である司法改革をほとんど批>判しない理由は?
    >なぜ回答から逃げる?

    ロースクール利権が、司法改革の根底にあるというのは、その通りでしょう。それはそれで批判されるべきです。

    それとは別に、「なぜ弁護士は特別扱いなんですか?」という問いに答えて欲しいのです。

    「ロースクールはもっと悪いんだから、俺たちのことは見逃してよ。」というのでは、回答になっていないでしょう。

    No title

    >是非とも、マスコミに、弁護士だからという理由でいちいち報道するな。
    >ラーメン屋の社会的脅威や自動車整備工の社会的脅威についても取り上げろと>言ってみてください。
    >鼻で笑われて無視されて終わるでしょう。

    これが、「なぜ弁護士は特別扱いなんですか?」という質問に対する答えなのですか?

    ただただ、呆れかえるだけです。残念なあなたに!

    No title

    >なお私個人は、論者が
    >「どれだけ市民に被害出ようがかまわないから、とにかく合格基準をユルユルに>して 弁護士の肩書きつけた人間を大・大増員させて競争すべきだ」
    >というのであれば、それもまあ一つの意見かなとは思いますよ。

    競争した方が、質がよくなりますよ。競争がない中で、殿様商売をしている弁護士が、市民に被害をもたらしてるのです。

    >他人に競争とか主張する前に、まず自分の腐った性格を治そうよ

    直すべきは、貴方の歪んだ性格です!

    No title

    >国が官制利権を無競争で強化するために、「ラーメン屋需要が溢れてる」として
    >莫大な血税をかけてラーメン屋大増員政策をした
    >でもすぐに需要なんかないとばれ、逆にラーメン屋の不祥事が多発したと
    >この状況下なら、そんな政策やめろと批判されるのは当たり前では

    その場合は、大増員政策を止めて、なりたい人がラーメン屋になれるような、通常の自由主義政策に戻せば足りますね。

    必要なら、ラーメン試験をして、一定の能力を担保しても良いでしょう。

    しかし、既存のラーメン店が有している以上の能力を、試験で求めるのはおかしいでしょうね。既存業者の生活を守るために、試験の合格基準を決めちゃだめでしょう!

    ラーメン屋の不祥事が多発したとしたら、既存のラーメン店に対する規制を強化しないといけません。ラーメン店の独立をお題目に、既存の業者には手を付けずに、新規参入者を規制するのはおかしい事を理解して欲しいのです。

    ラーメン屋も

    ラーメン屋でも同じだと思います
    国が官制利権を無競争で強化するために、「ラーメン屋需要が溢れてる」として
    莫大な血税をかけてラーメン屋大増員政策をした
    でもすぐに需要なんかないとばれ、逆にラーメン屋の不祥事が多発したと
    この状況下なら、そんな政策やめろと批判されるのは当たり前では

    その当然の批判に対し、
    「ラーメン屋を競争否定の特権階級にする気か! なお競争否定政策に関しては一切批判しません」
    なんて態度の人がいたら、
    こいつ個人的にラーメン屋を憎悪してるんだな、としか思われない

    回答は?2

    なお私個人は、論者が
    「どれだけ市民に被害出ようがかまわないから、とにかく合格基準をユルユルにして
    弁護士の肩書きつけた人間を大・大増員させて競争すべきだ」
    というのであれば、それもまあ一つの意見かなとは思いますよ。

    ただその競争論者が、競争否定政策に対してはなぜかほとんど批判をしない。
    またその不自然さを問われても逃げるばかり。
    これらの事実から、論者は競争なんか本当はどーでもよく、ただ弁護士を叩きたいだけの人であると
    解釈せざるを得ません

    他人に競争とか主張する前に、まず自分の腐った性格を治そうよ

    食中毒のニュースなんか毎年のように報道されてるのでは?
    その際に競争させるから食中毒が起きるんだ、競争させるなと言う議論を聞いた事ねーな。ずさんな食品管理を何とかしろとは聞いたことあるけどね。

    馬鹿とは議論になんねーのは同意。弁護士が妬ましいからこき下ろすんだろ、とかが思考の出発点じゃあな

    回答は?

    で、競争競争と振りかざしてる人が、競争否定政策である司法改革をほとんど批判しない理由は?
    なぜ回答から逃げる?

    No title

    是非とも、マスコミに、弁護士だからという理由でいちいち報道するな。
    ラーメン屋の社会的脅威や自動車整備工の社会的脅威についても取り上げろと言ってみてください。

    鼻で笑われて無視されて終わるでしょう。

    残念なのは、上流階級だと思われている弁護士をこき下ろすことで自分が偉くなったと勘違いしているあなたです。

    No title

    弁護士の特権階級などというものが存在するとは思いません。
    しかしながら、では、ラーメン屋が食中毒を起こしたことで、国民に被害が生じる職業という視点でニュースになることがありますか?
    自動車の整備工の「整備不良」で自動車が事故を起こしたことで、自動車工というのは国民に対して危険な職業だという視点でニュースになりますか?
    弁護士がいちいちニュースになるのは、本人に代わって契約を行い、金銭を動かすことがあるからです。
    この職業がもつ構造的なリスクが、その経済的基盤の脆弱さに連動しやすい社会環境があるからこそ、ニュースになるのではないですか?
    ただまぜっかえし、弁護士をこき下ろしたことにより実社会で持つコンプレックスが昇華できると考えている「バカ」と議論の余地はないのではないですか?

    No title

    「何故弁護士だけ特別なんですか?」

    これが、弁護士に突き付けられた疑問です。

    それに対する回答が、「バカとは議論の余地がない」「『大学周辺既得権益』の方がもっと悪い」ということですか?

    真正面から、質問に答えるだけの知性と誠意のある弁護士は一人もいないんでしょうか。

    残念です。

    No title

    まさにそこですな。「競争」が大事だと思うのであれば、競争を否定して大学周辺既得権益を肥え太らせてる司法改革政策こそが、真っ先に批判されなければならない
    でもここで競争競争と振りかざしてる人は、なぜか司法改革に対する批判をほとんどしない
    彼は、「司法改革が競争否定? 逆じゃなかったの? だってマスコミでそう書いてなかった?」 ぐらいの知識しかないのかな

    No title

    それより、法科大学院のクソ教授は競争に敗れているのに、その職に居座り続けるのはどうなんだ?

    No title

    バカとは議論の余地がないということだけがよく分かった。

    競争に敗れれば、「必要かどうか」以前にラーメン屋という職に居続けることは出来ていないですよね。
    その過程で食中毒とかで市民が犠牲になっているだけで。
    別に市民の犠牲を人質にして、競争を回避せよと言っているのではなく、生活に困窮するような地位にある人が「ラーメン屋」として他人の人生・生命を左右しかねない地位にあることの脅威を理解した方が良いですよ。
    弁護士の脅威なんて、はっきりいって誤差みたいなものです。
    ラーメン屋の方が、100倍も国民の人生に影響を与える職業だということを理解して欲しいのです。

    大工も警備員もお肉屋さんもスーパーの店員も大学教授も医師も弁護士もビル清掃のおばちゃんもタクシーの運転手も皆同じ。自分達だけは特別だと言ってるのは誰かな〜?ん?

    No title

    競争に敗れれば、「必要かどうか」以前に自動車修理工という職に居続けることは出来ていないですよね。
    その過程で市民が犠牲になっているだけで。
    別に市民の犠牲を人質にして、競争を回避せよと言っているのではなく、生活に困窮するような地位にある人が「自動車修理工」として他人の人生・生命を左右しかねない地位にあることの脅威を理解した方が良いですよ。
    弁護士の脅威なんて、はっきりいって誤差みたいなものです。
    自動車修理工の方が、100倍も国民の人生に影響を与える職業だということを理解して欲しいのです。

    No title

    >そういう事件が出るから競争はだめ、というのは本末転倒であって、競争して敗れた者は、弁護士という職を捨てる必要がある。

    競争に敗れれば、「必要かどうか」以前に弁護士という職に居続けることは出来ていないですよね。
    その過程で市民が犠牲になっているだけで。
    別に市民の犠牲を人質にして、競争を回避せよと言っているのではなく、生活に困窮するような地位にある人が「弁護士」として他人の人生・財産を左右しかねない地位にあることの脅威を理解した方が良いですよという記事です。
    曲解することで、正当な司法改悪への批判の矛先をそらし、補助金をむさぼり続けようとする輩こそ、職を失うべきではないのですか?

    No title

    でも、法科大学院が失敗作で法科大学院にしがみつく教授がダニであることに異論はないでしょ?

    No title

    世の中、困窮していても人様のものに手をつけない人は山ほどいるし、それが当たり前。できない奴は相応のペナルティーを受ける。
    弁護士という職を得て、他人の信用を自己の糧にしている者には、当然、それが備わっていなければならないし、備わっていない者は排除するべきだろう。
    つまり、そもそも弁護士になってはいけない者。

    そういう事件が出るから競争はだめ、というのは本末転倒であって、競争して敗れた者は、弁護士という職を捨てる必要がある。
    それはそのほかの職業でも同じ。
    プロフィール

    河野真樹

    Author:河野真樹
    司法ジャーナリスト。法律家向け専門紙「週刊法律新聞」の記者・編集長として約30年間活動。コラム「飛耳長目」執筆。2010年7月末で独立。司法の真の姿を伝えることを目指すとともに、司法に関する開かれた発言の場を提供する、投稿・言論サイト「司法ウオッチ」主宰。http://www.shihouwatch.com/
    妻・一女一男とともに神奈川県鎌倉市在住。

    旧ブログタイトル「元『法律新聞』編集長の弁護士観察日記」


    河野真樹
    またまたお陰さまで第3弾!「司法改革の失敗と弁護士~弁護士観察日記Part3」
    河野真樹
    お陰さまで第2弾!「破綻する法科大学院と弁護士~弁護士観察日記Part2」
    河野真樹
    「大増員時代の弁護士~弁護士観察日記Part1」

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