「悪筆」弁護士の真相

     このテーマは、「おまえに語る資格があるのか」と言われれば、「ない」という以外にこたえようがない、完全に墓穴を掘ることにつながるものであることを承知のうえで取り上げることをまず、お許し頂きたいと思います。

      「弁護士は字が汚い」

     これは、昔からいわれてきた都市伝説のような話です。なぜ、都市伝説めいたものになるかといえば、いまひとつ根拠がよく分からないまま、現実には多くの人が「遭遇した」という話、あるいは弁護士が自認している話だからです。

     正直、私も沢山「遭遇」してきました。この世界と関わりを持ちはじめた駆け出し記者のころ、暗号解読機が必要ではないかと思える、このままではとても印刷に回せない大物弁護士たちの原稿をわたされ、そのリライトに四苦八苦した経験がありました。どうしても解読できなければ、ご本人に聞くしかないわけですが、なんと聞けばよいのやら。「達筆すぎて」といえば、嫌味になるかもしれないし(本当に達筆で解読できないものもないわけではありませんでしたが、明らかにそういうレベルの問題ではない場合)。それよりもなによりも、ご本人が「解読可能」と判断されているようなところが不思議でなりませんでした。

     もっとも、これも不思議なことですが、くせが分かるのか、目がなれるのか、そのうちどんどん読めるようになってくる。しまいに、その手の原稿は社内で全部私のところにくることになり、自分自身が暗号解読機になっていたという話。

     解読不能のレベルと、解読できるが汚いというレベルは違いますが、その後も、編集者を含めて相手に間違えられるリスクを考えて書けばいいのに、と思えることはしばしばありました。その辺は、あまり気にされない方が多かったような印象を持っています。

     弁護士について、特にそうした「特性」が出ているといえる根拠はあるのか。実は、ネット上も、このことを取り上げている弁護士のブログがみられます。そうした「特性」が生まれる理由としては、司法試験や司法修習の過程で、字をとにかく早く書くことが求められ、訓練された結果であるという説(相模川法律事務所「コラム~弁護士の習性」)がよく言われてきました。弁護士の仕事そのものが早く書くことを求められその結果という説もありますが、どうもこの世界にくる前に形成されているという説の方が有力なようで、最近の弁護士のプログでも「弁護士の字が汚いのではなく、字が汚い人間が弁護士になる可能性が高い」という見方をしているものがありました(「中小企業の顧問弁護士・金沢市の弁護士内田のブログ」)。

     ある人にいわせると、やはり字はひとえに訓練なんだと。より訓練に時間を割いた人間が、きれいな字になれるのだということだとすれば、その時間を勉強に割いていた、そこに意を用いるのは二の次になっていた、ということで、大方説明つくことなのかもしれません。同じようなことが医者についてもいわれていることを考えれば、なんとなくそこに落ち着いてしまいそうです。

     パソコンの普及によって、弁護士のこの「特性」は、相当程度カバーできる時代になっています。ただ、やはり気になるのは、この話はいまでも弁護士にかかわりをもった市民の感想として、時々耳にすることです。字をそれなりにその人物に対する判断材料にされる方がいることも事実です。

     もちろん、弁護士選びということからすれば、およそそこを弁護士の善し悪しの評価につなげるのは危険といわざるを得ませんが、弁護士にあってもより顧客を意識したサービス業としての自覚がいわれている時代、かつてよりもこの「特性」改善が士業努力の一つとして加えられることになってくるのかもしれません。


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    河野真樹

    Author:河野真樹
    司法ジャーナリスト。法律家向け専門紙「週刊法律新聞」の記者・編集長として約30年間活動。コラム「飛耳長目」執筆。2010年7月末で独立。司法の真の姿を伝えることを目指すとともに、司法に関する開かれた発言の場を提供する、投稿・言論サイト「司法ウオッチ」主宰。http://www.shihouwatch.com/
    妻・一女一男とともに神奈川県鎌倉市在住。

    旧ブログタイトル「元『法律新聞』編集長の弁護士観察日記」


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