変わりつつある日弁連内ムード

      宇都宮執行部から山岸執行部に移って3ヵ月、予想されたことですが、スタンスに違う「政権」に移ったことによる日弁連内のムード変化をいう声が、会員から聞こえてきます。各単位会への意見照会は前会長の問題意識からの采配との見方もあった「法科大学院制度の改善に関する提言」が、結局に7月に可決、さらに選挙期間中もささやかれた会長選挙規定改定の作業が早速具体化するなど、新体制と結び付けられる、目に見えた動きも出ています。

      とりわけ、会員の中からムードの変化が伝えられるのは、「給費制」維持・復活活動です。この活動は、ある意味、前会長の看板であり、初年度にこれを延期させたという一応の実績もあったものです。先の選挙にあたっては、貸与制移行が決定しても、奪還を視野に、宇都宮会長続投へ活動道半ばを強調する、一つの切り札にもなった観がありました。それだけに、そのトップの交代は、会員間のムードを変えていることは否定できません。

     山岸憲司会長は、先日、取り上げたダイヤモンド・オンラインのインタビューでも「給費制」問題に言及し、「借金を背負わせた状態で弁護士として社会に送り出していては、良い仕事はできない」といった一般的な認識は示しながらも、「給費制という言葉にアレルギーがあるなら、他の制度を考えれば良い」「どういうことであれば着地可能かというのをこれから考えて行く」などとしているだけで、少なくともこのインタビューからみる限り、この問題に対する勢いは前会長と比べるまでもないといった印象を受けます。

     ある弁護士が、ブログで懸念しています。

      「この数年、日弁連としてめざましい活動があったのは、給費制維持のための運動ですが、これらの方々の意欲が急激に冷めつつあるように思います。私が関わってきた法曹人口問題に関する運動も、その母体であった法曹人口政策会議はなくなってしまい、日弁連としてはこれに代わる運動母体が用意されないままですから、このまま消えてしまいそうな状況です(公約はどうだったのか確認できていませんが、夏も終わりそうな時期になって、衆議院の解散の動きもあるというのに、未だに運動母体が用意できないということでは、やる気はないと公言しているようにも思えてなりません)」
      「他方で、選挙規定の改定作業とかは急激に進行しているようですし、『これからの司法像に関する基本的提言』なるものが、日弁連の各委員長に配布されて、日弁連がこれまで支持してきた法曹人口増加政策には充分に配慮して委員会活動をせよと言わんばかりの方向性が示されているようです」
      「これでは、日弁連が一体となって今迫りつつある危機に対応することは望めないと思います」(「白浜の思いつき」)

     文中に登場するこの「これからの司法像に関する基本的提言」は、「日弁連の会を挙げての司法改革を求める運動は、世論の支持を受けて広がり、他方、規制緩和のもとでの司法の強化を求める経済界の要求とも合流する中 で、2001年の司法制度改革審議会意見書に結実した」「しかし、これは、日弁連が求めた『司法の抜本的改革』からすれば、第一歩が始まったにすぎない」と司法「改革」路線推進を宣言、弁護士増員基調を強く打ち出していると伝えられるものです(武本夕香子弁護士ブロク)。「1500人」「更なる減員」方針堅持への不安として会員に受けとめられても当然な状況です。

     選挙の次点で、当選する候補者いかんで、日弁連内法曹養成・法曹人口に関する論議の潮目が変わることは予想されていたことでしたし(「日弁連法曹人口方針の潮目」)、もちろん山岸氏の支持者は、選挙の結果だけから、これが相対的多数の会員意思の反映であるとするかもしれません。

     しかし、最終的に投票行動に及ばなかった49.2%の会員も含めて、このムード変化が、「迫りつつある危機」を前に、弁護士・弁護士会とこの国の司法の、どういう未来を暗示しているのか、もう一度、ここで冷静に考えてみる必要があります。


    ただいま、「日弁連の『法科大学院制度の改善に関する具体的提言』」についてもご意見募集中!
    投稿サイト「司法ウオッチ」では皆様の意見を募集しています。是非、ご参加下さい。http://www.shihouwatch.com/

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    河野真樹

    Author:河野真樹
    司法ジャーナリスト。法律家向け専門紙「週刊法律新聞」の記者・編集長として約30年間活動。コラム「飛耳長目」執筆。2010年7月末で独立。司法の真の姿を伝えることを目指すとともに、司法に関する開かれた発言の場を提供する、投稿・言論サイト「司法ウオッチ」主宰。http://www.shihouwatch.com/
    妻・一女一男とともに神奈川県鎌倉市在住。

    旧ブログタイトル「元『法律新聞』編集長の弁護士観察日記」


    河野真樹
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