「質」懸念論への歪んだ論調

     弁護士の「質」というテーマをめぐって、ベテランと新人の間で相互に批判している状況が生まれていることは以前、書きましたが(「憂うべき『質』をめぐる相互対立ムード」)、早速、この状況に着眼した、むしろ乗っかったといってもいい「改革」推進の論調を、大新聞の紙面で見ることになりました。8月23日付け朝日新聞朝刊オピニオン面掲載の「社説余滴」(渡辺雅昭・司法社説担当)です。タイトルは「弁護士の『質』って何だろ」。

     若い弁護士の法律家としての「質」に不安がいわれ、法科大学院の教育へ批判の矛先が向き、年2000人の司法試験合格にも反対論があり、就職難で先輩の指導が受けられないことによる能力向上にも期待できない。このままでは市民に被害や悪影響が出るといった「物騒な予言」も――。

     冒頭、「質」の不安をめぐる論調をこの記事はこんな風に羅列しています。この見方に立てば、当方なども、およそ「物騒な予言」を振りまいている輩ということにされてしまうのかもしれませんが、渡辺氏はひとまず、「うなづける部分もある」として法科大学院の再編や司法試験の中身の見直しの必要性に言及したうえで、こう続けます。

      「そのうえで問いたい。『では、合格者が500人のころの先輩法律家は、質の高いサービスを人々に提供してきたのですか』と」

     まさにここで前記相互批判の一方の言い分に彼は乗っかりました。問題は、ここからの彼のとらえ方です。

      「参入障壁に守られ安穏としていた弁護士が、増員による競争激化にあわて、『市民』を持ち出して若手の進出に待ったをかける。『質の低下』論の裏側に、そんなうさん臭さを私は感じてしまう」

     前記エントリーでも書きましたが、先輩弁護士たちの「質」に対する発言は、必ずしも若手を批判しているわけではありません。「改革」が変えた環境の中にいる彼らに同情し、彼らのためにも、そしてその「実害」が依頼者に及ばないようにするためにも、なんとかしなければいけない、と真剣に考えている弁護士たちも沢山いるのです。渡辺氏はこの議論を先輩弁護士が自己保身から、「若手の進出に待ったをかける」ための「うさん臭い」ものとしてとらえることで、前記羅列した「不安」をめぐる当然の論調を、その中に押し込めようとしている風に読めます。相互批判の状況を、ことさらに歪んだ目線で見ているようにもとれます。

     根本的に誤解しているのではないかと思う記述もあります。

      「時代の変化をしっかり受けとめ、求められる『質』を再定義して底上げに取り組む。その営みにベテランも若手もないはずだ。力量のある弁護士は活躍の場が広がり、劣るものは退場を迫られる。業界をそんなふうに変えていかなければならない」

     この記述には、前記真剣に現在状況を憂いている方だけでなく、かなり違和感を持たれる弁護士は少なくないと思います。「質」の底上げにベテランも若手もないことなど、多くの弁護士は百も承知だと思いますが、そのことよりも何よりも、彼はこのままの状況での力量による「淘汰」で、若手が生き残れると本当に考えているのでしょうか。「進出に待った」をかけるどころか、「劣るもの」として若手が退場させられるのではないか、ということを懸念する先輩弁護士の存在は、どうしても認めない立場に読めます(「新人弁護士と法曹界の『淘汰』」)。

     彼がここで言っているのも、いうまでもなく「淘汰」が良質な弁護士を残すという考え方であり、それがあたかも大衆に利をもたらすという、刷り込み以外の何物でもありません。そして、その描き方に差障る懸念論は、既存の弁護士の保身として括るという手法です。しかし、彼が「変えていかなければならない」と信じるその先の弁護士界には、きれいな絵が描けるとは到底思えない現実が横たわっています。

     本当に大衆に伝えるべき懸念論を、「物騒な予言」などと言って伝えようとしない彼ら「改革」推進派の大マスコミの姿勢こそ、まず改められるべきです。


    ただいま、「日弁連の『法科大学院制度の改善に関する具体的提言』」についてもご意見募集中!
    投稿サイト「司法ウオッチ」では皆様の意見を募集しています。是非、ご参加下さい。http://www.shihouwatch.com/

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    テーマ : 弁護士の仕事
    ジャンル : 就職・お仕事





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    やはりコストの死に金は疾しいのか

    私は自分が弁護士だなんて一度も名乗ってないし、匂わせたことすらない。
    自身の言動に最低限の責任感を示す為に、私はこの河野さんのブログに書き込ませていただくときは、常に「893-5910」のペンネームで統一している。河野さん、或いは長くこのブログを注目している人たちなら、私がどれだけ現状の弁護士界に批判的なのか、わからないはずがない。

    書き捨て野郎(まともなペンネームも名乗らず、識別できないのでやむを得ずこう呼びます)は、特定の職業や民族に対する攻撃に反対するのは、まさにその標的にされた人だけだ、とでも思っているのでしょうか? 黒人1人を除いて全員白人しか居ない場所で「くせえんだよ、ニガー!」なんて叫んだら、周囲の白人達からどんな扱いをされるかわからないのでしょうか。

    明文で挑発したにも関わらず、育成コスト問題を完全に黙殺したところに、私は書き捨て野郎の疾しさを見ました。「無能な弁護士を淘汰させるためには当然の必要経費だ」ぐらい言切ってくれるかと思ったが、そんな度胸もなかったか。仮にその論法でいくとしても、法科大学院なんてものの必要性はますます否定されますからね。

    No title

    >逆に,依頼者の無知につけ込んで,
    >勝てるはずの訴訟を適当なところで手を打ったりした
    >という話は,聞いたことがあります。

    >また,弁護士の無知ゆえに,本来主張すべき主張をしないで,
    >依頼者が大損害を被ったという話も聞いたことがあります
    >(この場合,依頼者自身が無知なため,大損害を被っていることが
    >わからないこと自体が,本当は,大問題なのですが。)。

    こういった話を一番知ってるはずの官公庁(検察庁・裁判所)が、
    個別の弁護士に関する感想めいたものを出したら、
    風評でない、より信ぴょう性のある情報を一般市民が得られるかもしれませんね。

    弁護士も裁判官の評価本を出していたりするようですし、
    弁護士が公的な職務というならそれを甘受しても宜しいのではないでしょうか。

    No title

    増員するべしと書いてるのは私だけではないんですが、私はこれで最後にしましょう。私は10年程度前に弁護士に依頼して、逆に酷い経験をしたことがあるから正直にいって弁護士に対してよい印象を持っていません。
    私は数百万損したのにその時の弁護士の態度といったらおよそ人を馬鹿にしたものでした。競争のない既得権益にまみれている業界はろくなもんではないとその時から感じています。そしてネットを調べてみると同じような意見をもつ人が多数いることも知りました。

    「はっきり言ってやる。あんた、弁護士という、高収入の職業が妬ましくて、引きずり降ろしてやりたいだけでしょ。醜いったらありゃしない。大量増員で弁護士を困窮させろなんて言い張ってる連中はこんな奴ばっかりだ。」
    まあこれが弁護士さんの本音で、国民を馬鹿にしてるんでしょうね。少なくとも私の心はこの一連のやりとりでは動くことはありませんでした。

    せめてペンネームを名乗れ

    何が何でも断固増員するべしなんてどこの誰が言ってるの。あんただけでしょ。仮に増員するしないであんたにどんな利害関係があるの。弁護士がどうしても必要なのに、どこの弁護士も相手にされないのか。されても法外な報酬を吹っかけられてるのか。そうじゃないでしょ。

    はっきり言ってやる。あんた、弁護士という、高収入の職業が妬ましくて、引きずり降ろしてやりたいだけでしょ。醜いったらありゃしない。大量増員で弁護士を困窮させろなんて言い張ってる連中はこんな奴ばっかりだ。

    あんた、「過当競争による弊害」なんかよりも、まず第一に「需要がないのに無理矢理弁護士が育成されることで、その育成に投じられた莫大な税金が無駄になる」弊害をどう解決してくれるの。これを回避しながら競争しろ競争しろと言い張ってもそれこそ説得力がない。

    No title

    食べログのようなサービスの登場も時間の問題でしょう。国民は法律について知らなくても満足のいくサービス、値段だったかはわかりますよ。

    増員反対の意見は全部弁護士なんでしょうね。増員するべしは国民の意見。
    弁護士さんわかりますよ。誰だって商売ガタキを増やしたくないですからね。私だってそうです。
    血税云々、手抜きの仕事をする弁護士が登場するなど、結局競争をしたくないがための後付けの理由としか思えないというのが常識的な国民の意見でしょうね。朝日新聞の記者の方も同意見のようで。

    前に出てましたが結局競争による弊害は競争制限以外の方法で解消するべしというのが国民の声です。競争による弊害を弁護士さんがいくら述べてもほとんど説得力ないですね。

    No title

    〉要するに「食べログ」のようなサービスがない

    そういったサービスはないですが,ネット上で,真偽不明ではありますが「情報」は検索すれば見つけられます。

    〉食べ物と違って、
    〉法的知識の乏しい人(依頼者)に
    〉弁護士の巧拙が分かるとも思えませんが。

    ここは,味噌でして,

    HPなどで集客しょうとする側は,虚偽と断定されない程度に過大広告ではないかと思われる情報を流していますね。
    例えば,「経験豊富な弁護士が・・・」とあるので,本当かいなと思って登録番号を検索したら44000番台だったとか。

    分かる人には分かりますが,皆が分かるかというとどうかと。

    〉依頼者のご機嫌をとって意のままに動き
    〉非常識な訴訟を乱発して周囲に迷惑をかけ(依頼者は大満足)、
    〉問題は公的機関や相手方弁護士になすりつけるばかり
    〉という、モンスターローヤーが増えないことを

    勝てない訴訟は勝てないので,このような対応で結局敗訴して依頼者が満足ということは,レアケースはさておき,なかなか現実には,考えにくいような気はします。
    逆に,依頼者の無知につけ込んで,勝てるはずの訴訟を適当なところで手を打ったりしたという話は,聞いたことがあります。また,弁護士の無知ゆえに,本来主張すべき主張をしないで,依頼者が大損害を被ったという話も聞いたことがあります(この場合,依頼者自身が無知なため,大損害を被っていることがわからないこと自体が,本当は,大問題なのですが。)。
    出典はネットなので,真偽のほどは定かではありませんが,即独弁護士が巷で話題になるような世の中ですので,なきにしもあらずかという気がしています。

    なお,弁護士が,競争をしてこなかったかのような話がありますが,そんなことはないと思います。
    例えば,10年以上も前から,渉外事務所と呼ばれるジャンルはあっったわけで,彼らは,他の弁護士との競争の結果,渉外というジャンルに特化することを選択して,他の弁護士との峻別をはかったわけです。企業法務専門の事務所だって,知的財産権・倒産法・労働など特定の分野に特化した事務所だって,そうです。
    また,特定の分野に特化せず,よろず屋的に広いジャンルを扱う街弁も,食っていくための競争の結果,逆の方向の選択をした結果かと思います。

    ですので,
    〉自分達も競争してた?一般企業がどんな競争してるのか調べた方がいいです
    〉よ。
    の話は,こういうことではなく,「競争の結果,食えない弁護士が発生して何が悪い,当然だ」という趣旨のような気がします。

    食えない弁護士が発生することがいいとか,悪いとか,ということについては,「弁護士になったから将来が保証されるわけではない」ので,結果としてそういった事態が発生することは致し方無いかという気がします。

    そうではなくて,仕事の分野としては既に飽和状態であるにもかかわらずむやみに増員していること,が問題という気がします。

    弁護士になるのと,他の仕事に就く場合とで,種々の大きく異なる点がありますが
    ,そのひとつに,弁護士になるには,税金によって国から補助を受けているということが挙げられます。
    すなわち,弁護士になるには,司法試験に合格する以外に,(1)法科大学院をでなければならないというハードルと,(2)司法研修所をでなければならないというハードルがあります。
    (1)については,弁護士希望者が自ら経済的に負担している以外に,国民の血税が法科大学院に補助金という形でつぎ込まれています。(2)についても,その運営費は血税です。
    故に,弁護士が誕生には,その人個人の力・資質だけでなく,血税が大きく寄与しているのです。
    弁護士が十分足りているにもかかわらず,まだ弁護士を増やすということは,本当であれば,注ぎ込まなくてもいい血税を,不必要につぎ込んでいるのと同じです。
    そして,司法研修所の卒業生が,就職難だから法曹三者に就かないとか,弁護士になっても仕事が無いから直ぐ廃業というのでは,何のために,法科大学院の補助金や司法研修所の運営費として血税をつぎ込んだのか,意味ないじゃないか,ということになります。
    少なくとも,その人に対しては全く無駄となります。
    特に,日本国が,国民の高齢化や景気の低迷などで税収が足りないといっているこのときに,なんとまあ無駄なことをしているのか,事業仕訳の対象にはならないのか,という気がします。
    この点,マスコミが触れないのも何故なのかな,触れるとマスコミの経営上,広告宣伝収入が減るなど何か都合がわるいことでもあるのかと穿った見方をしてしまいます。

    そして,弁護士大量廃業の時代が到来した時,それは,無駄な公共事業をしたのと同じ,構造的な血税の無駄の問題を発生させていることになるのでは,という気がします。


    No title

    質の悪い弁護士がかなりの割合で混じっているとなると、どうやって質のよい弁護士を選ぶのかが問題になります。ただ、弁護士のように質の判断が非常に難しい職業になれば、エリート弁護士ばかりを雇っている大手事務所へ依頼すれば大丈夫だと思うわけです。特に会社の法務担当者は事務所選択が間違っていたとの責任を負わされないためにそういう傾向になります。
    だからこそ、アメリカのように腐るほど弁護士がいても1時間1000ドルのレートで働く弁護士が存続し続けられるわけです。
    日本企業がアメリカの弁護士事務所に幾ら搾り取られているか考えてみてください。一つの訴訟で何億円も弁護士費用かかりますから、訴訟の数から考えると、恐ろしい額です。

    弁護士というだけでは質が保証されていないからこそ、アメリカの高額なレートが可能になるのだと思います。質を保証しないうえでの競争がもたらした結果ではないでしょうか。

    No title

    >要するに「食べログ」のようなサービスがない
    食べ物と違って、
    法的知識の乏しい人(依頼者)に
    弁護士の巧拙が分かるとも思えませんが。


    依頼者のご機嫌をとって意のままに動き
    非常識な訴訟を乱発して周囲に迷惑をかけ(依頼者は大満足)、
    問題は公的機関や相手方弁護士になすりつけるばかり
    という、モンスターローヤーが増えないことを
    社会全体の利益の見地から祈念しております。

    No title

    競争は結構なことです。ただし,医師の場合は2年以上の臨床研修が義務づけられており(医師法16条の2),2年間の初期研修後も引き続き臨床研修を続ける医師が多く,臨床研修を受け入れる環境が調うよう,補助金が投入されています。臨床研修を受けたくても受けられないほど医師をあふれさせろと主張している人はほとんどいないでしょう。

    No title

    弁護士さんも医者が増員して競争するということに対しては是としている人が多いみたいですね。
    それで自分達の業界は増員、競争はさせるなとw

    まあ、バブル時代(ないしは規制時代)は資格さえとればどんな資格でもたいていは食えた。今はどんな資格でも食える人と食えない人が出てきてる。これが弁護士や医師にも訪れただけ。
    なぜ自分達だけは特別だと考えるのかが理解できない。難しい試験を突破した特権階級だから?wwwww

    自分達も競争してた?一般企業がどんな競争してるのか調べた方がいいですよ。

    No title

    なぜ、弁護士の質にばらつきがあってはいけないのでしょうか?
    三つ星でも、場末の料理店でも、目的である「安全に」「満足する」「料理を食べられれば」それで良いのではないでしょうか。

    料理もろくにできない料理店が出てはいけないのは当たり前です。
    懲戒を受けるような行為をする「安全でない食べ物を出す店」は、退場しなければなりません。
    勝てる裁判でも負けるような弁護士は、「料理が不味い店」として淘汰されるでしょう。
    そもそも裁判手続きすら覚束無い弁護士は、「料理が下手な店」として淘汰されるでしょう。

    勿論、それに応じてお金がかかる、つまり、お金があればより良いサービスを受けることができる「可能性が高くなる」のは当然です。
    でも、お金を掛けなくても「満足するサービスを受ける料理店」があるように、お金をかけても「満足しない料理店」もあるように、可能性の問題にすぎません。

    料理にも好き嫌いがあるのと同じく、法的サービスも解決方法に好き嫌いがあるでしょう。お金をかけて完膚なきまで相手を叩きのめしたいという人もいれば、適当なところで妥協できればいい、という人もいる。
    いまの弁護士の世界では、下手な料理人が少ない代わりに、上手い料理人であっても好きな料理を出せないような、共同経営食堂に見えます。

    自由にすることで、下手くそな料理人が淘汰され、有能な料理人がより活躍できるほうが全体として良いと思います。

    ただ、こう書きすすめて感じるのは、要するに「食べログ」のようなサービスがないのが弁護士業界を澱ませている原因だろうと思いますね。
    食べログだって、玉石混交の意見ですが、一定数が集まれば真実に近いものが見えるわけですから、多少の誹謗中傷があったとしても、全体の利益には資すると思いますね。
    淘汰も加速されるでしょうし。

    No title

    この新聞記事も,結局,合格者を増やして自由競争で淘汰だ,という単純な話にはなっていないですよね。奥歯に物が詰まったような言い方をしており,途中から話が抽象的になっているのは,物事はそう単純ではないからです。いくら自由競争だと言ってみたって,就職先がなきゃ高い学費を払って時間かけて勉強しようという人はいなくなり,現にそうなっています。

    マスコミを説得できていると?
    この記事の基になった新聞記事を読みましたか?
    国民の声にキチンと耳を傾けましょう。説得された国民はどのくらいいるんですか?本当に説得できてるなら、言い分が通るでしょうね。

    No title

    フリードマン理論に依拠している人を説得するつもりもありません。

    今やマスコミすら,とにかく合格者を増やせ,という論調ではなくなってきています。極度の就職難により,誰も弁護士を目指さなくなってしまいましたから。

    競争のない業界よりも競争のある業界の方が国民の利益は大きいからね〜。

    SBさんがあげてる事務所は宣伝という競争、国民のニーズを捉えるという競争に勝ったんだよ。それだけの話。
    同じ宣伝をして同じく国民のニーズを捉える事に成功すれば、真面目な仕事をする事務所が勝つでしよ

    SBさんみたいな発言は競争をしたくない(既得権を擁護したい)趣旨としか感じない。

    利用者が選んだサービスこそ良質のサービスですよ。
    より機能が優れ、より安いにもかかわらず、宣伝に失敗して淘汰される商品なんて、いくらでもある。
    それの何が悪いのか全くわからない。

    それに、質の悪い事務所とやらが淘汰されずに利益をあげていることと、競争を否定することに何の関係が?
    競争を否定しても、そういう事務所は残り続けるでしょう?
    でも、競争が激しくなれば、そういう事務所を放置しておくと、誠実に仕事をやって利益を上げることが困難になるから、何らかの処置を取ろうという動きが出てくるかもしれない。
    そういう事務所をあえて潰さなくても食っていける環境だと、そういう事務所の問題を真剣に何とかしようともしないでしょ。

    No title

    質の高い仕事をする弁護士が生き残り,そうでない人は淘汰される。自由競争こそサービスの水準を向上させる。もっともな意見です。

    では現実はそうなっているか。多額な収益を上げているある大型事務所は,弁護士は最初の面談だけ,後は事務員がマニュアルを見ながら処理する。面倒くさい事件は屁理屈をつけて辞任。過払いだけ電話交渉して数割だけ回収。訴訟をやれば満額回収できるのに,電話だけで終わる交渉と違って面倒くさいから「訴訟をやると時間がかかります。」と嘘をつくか(交渉でやると支払時期を延ばされるので訴訟にしても大して変わらない。),最初から訴訟の報酬を高額に設定してあきらめさせる。多額の宣伝費用を投入しているので,顧客は絶えないようです。

    なんで質の低い仕事をしている事務所が多額の収益を上げているのでしょうね。

    それは,法律事務所を利用するのはせいぜい一生にあるかないか,あっても数回なので,評判がほとんどなく,情報がないのです。日常的な商品と法律事務所のサービスでは,情報量が全く違うのです。消費者に選択できるだけの情報がなきゃ,自由競争も何もありません。商品やサービスが日常的なものでなければ,情報は上がってこないのです。もちろん,仕事の質を内容に踏み込んで判断するには専門的な能力が必要になるという点もあります。

    情報開示を義務づける,という方法もありそうですが,何を開示するか問題になります。勝訴率ですか。勝訴率を開示したら,負ける可能性のある事件は誰も受けなくなるでしょうね。数パーセントの可能性でもやりたい,そんな人が弁護士を依頼することは不可能になります。

    弁護士を増やすとして,ではどの程度増やすかといったら,その答えは,国民の利益が最大になる数,ということでしょう。それが合格者1000人なのか1500人なのか2000人なのか3000人なのかは,様々なシュミレーションをしてみてメリット・デメリットを比較する必要があるはずです。何らかの理論から直接導けるものではないはずです。

    現実には,自由競争淘汰論が今後主流を占める可能性はほとんどないです。なぜなら,自由競争による淘汰をいうなら,真っ先に最大の参入障壁である法科大学院をつぶさなきゃ筋が通らないからです。何百万もの学費を払わないと法曹になれない,教育効果は全く実証されていない。仮に何らかの教育効果があったとしても,質が低ければ実務で淘汰されればいいので,これを司法試験受験資格にす理由は全くない。これ以上不合理な参入障壁はない。だから,司法制度改革を主導している学者たちは,自由競争淘汰論ほのめかすことはあっても正面には出してきません。だいたい,法科大学院は必要だけどOJTは不要,というのは矛盾もいいところです。机の上の勉強と現実の事件を通じた勉強とじゃ,その教育効果は比べるまでもない。

    最近はマスコミでも合格者を増やせという論調はあまり見なくなりました。総務省の政策評価で合格者2000人でも多いという結果があったせいかもしれません。

    値段は安いけど仕事のレベルが低い弁護士は、値段が安くて仕事のレベルも高い弁護士に淘汰されるから大丈夫。
    値段を安くして質の高い仕事をするのでは、割に合わないなら、共同事務所にして事件を分担すればいい。
    安い仕事をやってる人の稼ぎが足りない分を高い仕事をやってる人が補えるようにして、全体で売上を上げれば、個々の仕事の単価によって、手を抜いたりする動機は消滅する。

    国民は興味がないと考えること自体が国民を馬鹿にしてると思いませんかね?弁護士にとって都合の悪い意見を述べる人は国民ではないと?都合の悪い意見は聞こえなくなってませんか?

    例えば国民は日々の生活で手一杯で政治に「本当に」感心がある国民はもしかしたら少数かも知れません。じゃあ国会議員が「国民は政治に感心がない」と発言すれば国民は多分怒るでしょう。それと同じような印象を受けますね。

    競争は今はだいぶ目に見える形で行われてきてると思いますが。価格も昔は業界では固定だった(不当に高かった)のが今は無料相談や着手金の引き下げなどが起きてきてます。
    なぜかは知らないけど以前は一切宣伝がなかったのが今は宣伝をたくさん見ます。ネットで弁護士事務所を比べる事もできます。
    国選弁護士も昔は役にもたたない、言葉は悪いですがポンコツがやってたのが今は取り合って仕事をしていると聞きます。

    つまり一個前のコメントの方の考え方に従えば少なくとも(2)(3)のサービスの水準向上や(2)の値段が下がって来ているという効果が出てきているという事です。既に今の段階で国民は利益を享受しはじめているのだから考え方は間違ってるでしょうね。

    No title

    本当に,国民が弁護士に競争することを是としてる,として時代が流れているのであれば,それはそれで致し方無いかと。

    ただ,本当に,そうなのでしょうか?
    私の周りの人達は,いわゆる「国民」ですが,司法制度改革なんて全く知らないですが。誰も興味が無いですよ。よその話ですから。

    制度を(自身の)いじろうとする側の人が,「国民」というマジックワードを使っているだけでは?

    また,本当に,競争が起こっているのでしょうか?
    ちなみに,ここでいう競争って,価格競争でしょうか?

    私が不思議に思うのは,料理だって,三つ星レストランもあれば,場末の食堂,果ては,ボランティア団体の炊き出し,まであるんです。弁護士のサービスも,そうなるのではないのか,と。

    よく見聞きするのが,「弁護士の数が増えれば,弁護士フィーが安くなる」というフレーズですが,三つ星レストランが増えれば,三つ星レストランの料理の値段が安くなる,ということはないですよね?

    弁護士フィーは,値段は決まっていて,一度,契約をした以上は,弁護士が全力で仕事をする(手抜きをしないで弁護活動をする),というのが大前提となっているような気がします。
    この前提がある以上,弁護士フィーが安ければ安いほど依頼者に有利だ(対価が安くなるのに,弁護士はちゃんと活動してくれるから),となると考えられているようです。

    しかし,価格競争をする以上,弁護士だって,価格に見合った活動しかしてくれなくなるとは,考えないのでしょうか?

    「お金を払っているのに,ちゃんと弁護士が弁護活動をしない」といったクレームの話もあるようですが,価格競争を追求するのであれば,いっそのこと,(1)セレブコース(価格は最上級であるが,その道の研鑽を積んだ弁護士を複数名貼り付け,時間に糸目をつけず徹底的に戦う),(2)通常コース(価格は普通,サービス内容もまあ普通),(3)炊き出しコース(価格は非常に安くタダ同然だが,サービス内容も最低。暇つぶしに活動する程度。ないよりまし),のようなコース別メニューが出てくるのではないかと思います。

    そうすると,お金を支払えない人は,(3)炊き出しコースになり,(2)セレブコースはおろか(3)通常コースにも及ばない弁護活動しか受けられないので,結局,報われないと思うのですが,このような考え方(予想)は,間違っているでしょうか?









    いろいろ考えはあるさ。でも大事なのは国民が何を支持するかだからね。
    国民は弁護士に競争することを是としてる。

    説得できなかったんだよ。自分達の身を切るような説得じゃないと説得力なんて全然ないのに。既得権益擁護してくれみたいな説得じゃあね〜
    国民を馬鹿だと弁護士は思ってるんですかね?

    No title

    マスコミが,理想的な美しい記事を発信すれば,世間がそれに乗り,世の中が良くなって行くのでしたら,それはそれで問題ないと思います。

    しかし,残念ながら,マスコミのどなたがなんと言おうが,現実の世界は,そうはならずに流れていきます。

    「淘汰に若手も先輩もない,キチンとした仕事をして依頼者に評価される弁護士だけが生き残る」という理想は美しいですし,世の中がそうなるのでしたら,何の支障もないでしょう。

    しかし,残念ながら,美しき理想と裏腹に,現実は厳しいです。

    大雑把ではありますが,大御所(高齢)弁護士・中堅弁護士・新人弁護士と区分します。大御所(高齢)弁護士は,相当遠くない未来にリタイアします。中堅弁護士は,彼らを敵とは見ていません。先輩ですし,黙っていても自然に後進である自分たちに道を譲ることになるからです。
    そして,後ろから追いかけてくる新人弁護士を「法曹の後輩」ではなく,単なる「商売敵」として,潰せば安泰です。しかも,自らに対する脅威となる前に,弁護士登録後できるだけ速やかに。

    別に,このような新規参入者に敵対するのは,どの業界でも通常あることであり,将来の敵に対して,何故,OJTを施してくれると思うのか,私は,非常に疑問に思いますが,間違っているのでしょうか?

    そして,本当に憂うべきは,近い将来,後進がまったく育たない(多くの若手が退場していくため),法曹界が出現するということです。




    No title

    下記でコメントした「とおりすがり」です。

    競争制限以外の方法で、競争によるデメリットは排除出来る以上、競争制限を正当化することは出来ないと思います。

    専門分野が細分化するのは、弁護士のみならず、他の分野(医療しかり、税務しかり、製造業しかり)でも、近代化とともに普遍的な現象です。
    自身が専門的知識のない分野を引き受けることで質の問題が発生するというのは、そもそも「引き受けてはならないものを引き受けた」という職業倫理の問題であって、質の問題ではないでしょう。それにともなう報酬請求も同じ。

    質の問題であるとすれば、専門知識とはかけ離れた部分、それこそ訴訟手続きにおける手続的基礎知識の欠如ないし失念などで委任者の利益を損ねる場合(たとえば控訴期限の徒過など)があれば、それこそ質の問題として議論されるべきことです。

    しかし、それは修習において基礎的に対応しているべきことであって、二回試験におけるレベルの維持で十分に対応可能でしょうし、そういったものは継続教育でも担保出来ます。(一定期間毎の自費による再修習の義務付けなんかが考えられます。これなら国の予算措置も不要。)

    いずれにしても、競争制限は規制の力として弊害が大きすぎると思います。

    競争による淘汰で、何もかも上手くいくわけではないけど、非競争よりマシだよ。
    競争によるデメリットは非競争以外の手段で是正すれば良い。
    そういう意味で、原理主義と言われれば、全くその通り。
    競争によるデメリットがどれだけあろうが、競争を回避する理由にはならない。

    No title

    質の問題は難しいですよ。

    弁護士事務所が巨大化すると、専門分野ができてしまい、その分野についてしか経験を積めないということがあります。人数が増えると巨大化が進みますますその傾向が高まります。
    巨大事務所は全員がパートナーになれるわけではないので、途中で辞めていく弁護士が結構いますが、こういう人が急に独立して事務所を開き、専門外のやったこともない事件を引き受けたら、やっぱり質の問題が発生すると思います。さらに、巨大事務所の感覚で費用請求したら、それこそ問題を大きくするでしょう。

    No title

    キチンとした事務所に勤務できた若手は、キチンとOJTを受けることになるでしょうから、淘汰されることはないでしょう。
    ただ、OJTがすべてではないですから、淘汰に負けない若手もいるでしょう。
    相対的に若手が不利になることは、経験がものをいう業界では当たり前。

    いいじゃないですか。

    淘汰に若手も先輩もない。
    キチンとした仕事をして、依頼者に評価される弁護士だけが生き残る。

    良いと思います。むしろ何がいけないのでしょうか?
    プロフィール

    河野真樹

    Author:河野真樹
    司法ジャーナリスト。法律家向け専門紙「週刊法律新聞」の記者・編集長として約30年間活動。コラム「飛耳長目」執筆。2010年7月末で独立。司法の真の姿を伝えることを目指すとともに、司法に関する開かれた発言の場を提供する、投稿・言論サイト「司法ウオッチ」主宰。http://www.shihouwatch.com/
    妻・一女一男とともに神奈川県鎌倉市在住。

    旧ブログタイトル「元『法律新聞』編集長の弁護士観察日記」


    河野真樹
    またまたお陰さまで第3弾!「司法改革の失敗と弁護士~弁護士観察日記Part3」
    河野真樹
    お陰さまで第2弾!「破綻する法科大学院と弁護士~弁護士観察日記Part2」
    河野真樹
    「大増員時代の弁護士~弁護士観察日記Part1」

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