ある新人女性弁護士の「特別」

     あるライターが、生活保護費問題で注目された片山さつき参院議員に、こうした問題で取材を申し込むために、議員会館に連絡したところ、要件も聞かずにマネジメント会社への連絡を指示され、その会社で「おいくらいただけるのでしょうか」といわれた、という話が報じられています(週刊ポスト2012年8月10日号、NEWSポストセブン)。

     そりゃ、メディアに登場すれば、「出演料」も発生するだろうが、「問題を追及し、法律を変えていくのが我々の仕事」と自負し、生活保護費の問題を「国会議員としての大切な政治活動」として取り組んでいた片山議員がコメント謝礼を要求するのは、彼女自身が「国民感情として許せない」と批判してきた「生活保護を喰いものにする人」になってしまわないか、と、チクリとやっている記事です。

     実は、最近、一躍脚光を浴びた新人女性弁護士について、同じような話を、知り合いの大手経済誌の記者から聞きました。彼が、取材を申し込むために、彼女が所属する法律事務所に電話したところ、マネジメントをやっている事務所を通してくれ、といわれ、同事務所に連絡したところ、まず、ギャラの話になった、と。記者は、どん引きしていました。

     もちろん、彼女について、片山議員に被せられるような、年間約2000万円もの歳費を税金から受け取りながら、「議員としての活動」で副収入を欲しがるというのは、どうなの、といった批判はできません。30分5000円が取れる事業者の時間を割くのだから、報酬の発生は当たり前ということもできますし、そもそも両者とも、多数の取材を間引くことも含めて、アウトソーシングしているとみることだってできます。

     ただ、少なくとも新人女性弁護士の彼女について、それは踏まえても、ここで取材する側がどん引きしてしまうことが、理解できてしまうのは、要するに、これが「お約束過ぎて萎える」話だからです。

     マスコミに登場している、いゆゆる「タレント弁護士」といわれる人々は、あくまで弁護士をやっていた人のタレント兼業という意味で、「弁護士議員」の用法に従えば、むしろ「弁護士タレント」であるわけですが、この彼女は、その意味では、文字通りの「タレント弁護士」といえるのかもしれません。それでも、こちらが別の分野で名前が知れているとはいえ、新人「弁護士」としてコメントを求めようとした時に、やはり特別な対応を求められた印象、つまり、彼女の気持ちそのものは、やっぱり「転身」していないのだ、という印象を受けてしまうということです。

     このことを取り上げて、「それでいいの?」などといえば、それは彼女の生き方ですし、また、彼女なりの自らの「特性」を計算したうえでの戦略があるのであれば、余計なおせっかいと言うことにもなります。現に、彼女を諭したい弁護士もいらっしゃるようですが、脚光を浴びている彼女へのやっかみのように、とられるのを恐れて、口をつぐんでいるということもあるようです。

     ただ、特別扱いを求める分、やはり「弁護士」の発言としては、逆に「特別」なポジションの方の発言として、テーマによってここは大きく差し引かれるということになってしまいます。

     しかし、実は本当に「お約束過ぎて萎える」話は、彼女の周辺にあるというべきかもしれません。例えば、既にいわれているような、法科大学院制度を語るうえで、彼女を注目できる「成功者」としてスポットを当てたりすること、俗にいう「広告塔」として使うという発想です。とりわけ、教育機関としての「出自」で、弁護士会の中には、「使いやすい」といった見方もあるかもしれません。

     もちろん、そこでは逆に彼女の「特別」はできるだけ伏せて、法科大学院制度の「申し子」として、むしろ一般化することになりますが、もはやこれをやるようじゃ、専門家のやることとしては、「萎える」どころか、制度とともに「末期的」といわれても仕方がありません。

     弁護士のなかからは、余計なおせっかいは承知で、彼女の選択としても、「なにも1年目からそんな役回りを演じなくても」という声も聞かれますが、これがやっかみでもなんでもなく、むしろ同じ世界の人間が、彼女を一新人弁護士としてみた率直で温かいサゼッションであることが、やはり今の彼女には伝わらないだろうなあ、と思ってしまうのです。


    ただいま、「日弁連の『法科大学院制度の改善に関する具体的提言』」についてもご意見募集中!
    投稿サイト「司法ウオッチ」では皆様の意見を募集しています。是非、ご参加下さい。http://www.shihouwatch.com/

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    テーマ : 弁護士の仕事
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    深刻な社会問題

    去年の12月16日の衆院選

    http://photozou.jp/photo/photo_only/196565/180551073

    開票に機械を使うべきでない。

    いかなる奇術も可能である。

    ムサシネット参照

    ムサシの機械とムサシの社員を開票の場からの排除を ・・・

    そのように行政不服の申し立てをし、

    参院選延期の仮処分申請をするには ・・・


    都議選のツルツルのシートのような投票用紙

    プリピートという印刷機 ・・・


    日本の選挙があぶない そして 日本があぶない 

    弁護士のインタビューは無料が伝統

    弁護士のインタビューは今までは無料で受けるというのが業界の伝統というか不文律だったように思います。個々の弁護士が取り組んでいること(いわゆる人権事件だったり,弁護士会の委員会だったり,或いは某ビジネスロイヤーのように,自らの構想する司法制度だったり)を伝えて世論に訴えかけるためだったり,自分の業務の宣伝になるためだったりするので,弁護士にも無料でインタビューに答えるメリットがあったのです。私自身,様々なメディアからのインタビューに無料で答えてきました。ですので,有料でしかインタビューに答えない,というのは,昔気質の弁護士からすると,とても驚きであるのは確かでしょう。逆に,彼女にお金を払ってでもインタビューに答えてもらいたいというニーズがあると言うことの方が,私には驚きです。同じ内容を無料で答えてくれる若手弁護士は掃いて捨てるほどいますのに,きっとその美貌と知名度のなせる技なのでしょうね。

    No title

    自分がインタービューしたときは無料で答えろということですか?むしろこの記事を書いた人が特別扱いされたいのでは???

    No title

    おそらく、そうでしょう。

    どう考えても大きなおせっかいでしょうね。新人弁護士を批判するより横領事件を起こしても何食わぬ顔で弁護士を続けてるベテランを批判するべきでは?このような輩がいるから弁護士への風あたりが強いんです。
    またブログ主への批判ではありませんが新人弁護士の名前を推測であげてしまうやからもろくなもんではないでしょうね。

    この女性新人弁護士は

    全くの推測ですが、菊間千乃さんですか?他に見当たらないので・・・

    ・女性新人弁護士
    ・芸能事務所に所属
    ・LS制度の成功者(転身組)
    ・メディアに取材するに値するネームバリューをお持ち
    プロフィール

    河野真樹

    Author:河野真樹
    司法ジャーナリスト。法律家向け専門紙「週刊法律新聞」の記者・編集長として約30年間活動。コラム「飛耳長目」執筆。2010年7月末で独立。司法の真の姿を伝えることを目指すとともに、司法に関する開かれた発言の場を提供する、投稿・言論サイト「司法ウオッチ」主宰。http://www.shihouwatch.com/
    妻・一女一男とともに神奈川県鎌倉市在住。

    旧ブログタイトル「元『法律新聞』編集長の弁護士観察日記」


    河野真樹
    またまたお陰さまで第3弾!「司法改革の失敗と弁護士~弁護士観察日記Part3」
    河野真樹
    お陰さまで第2弾!「破綻する法科大学院と弁護士~弁護士観察日記Part2」
    河野真樹
    「大増員時代の弁護士~弁護士観察日記Part1」

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