弁護士に関する苦情(1)「うちの先生はやってくれない」

     私は昨年の7月末まで、法律家向けの新聞社におりましたが、そこで市民の方々からの沢山の弁護士に対する不満、苦情を耳にしてきました。弁護士に依頼したい、または依頼した市民が壁にぶつかり、途方に暮れた末、どこかで法曹を相手にしている新聞社ということを聞いて、「なんとかならないか」と電話をしてくるのです。どちらかというと独力で、八方手を尽くして、どうにもならなくなって、うちに電話してくる人がほとんどでした。

     どうしたら自分が希望するような弁護士に会うことができるか、というアクセスに関する問い合わせや不満・苦情は沢山ありました。これについては、別の回でお話ししますが、弁護士にたどりついてからの市民の苦情も、実はすごく多いのです。

     その中で、おそらく最も多かったのは次のようなものです。

     「うちの先生は、一生懸命やってくれていない」

     ケースの中身はさまざまですが、要するに職務怠慢に見えたり、不親切に感じたりしているケースです。

     ちなみに弁護士の倫理を定めている「弁護士職務基本規程」には、こんな規定があります。

     21条「弁護士は良心に従い、依頼者の権利及び正当な利益を実現するように努める」
     22条「弁護士は委任の趣旨に関する依頼者の意思を尊重して職務を行うものとする」

     この「基本規程」には、他にも弁護士が基本的に「やってはいけないこと」や「やらなければいけないこと」が定められているので、ネットで見れますので一度見てみてください。

     前記した二つの条文を見ても、基本的には「一生懸命やってくれないうちの先生」は、アウトです。ただ、まずは怒りや不満を募らせる前に、ちょっと落ち着いて考えてみて下さい。あなたは弁護士の先生に、あなたの不安・不満に思う点をちゃんと聞いてみましたか。その先生はあくまで法律専門家として、市民にはなかなか理解が難しい局面で、それなりに一生懸命やっているのかもしれない。

     私にきた弁護士に関する苦情は、それこそケースは千差万別ですが、その中には、おそらく弁護士の説明が足りない、逆に言うと、市民側に知識、情報が不足していることが原因ととれるものや、弁護士や裁判に対する過剰な期待によるととれるものも少なくありませんでした。思い当たることがないかも考えてみる必要があります。

     だから、とにかくまず気おくれしないで、率直に弁護士の先生にぶつけて、納得できるまで説明を求めましょう。もちろん、それでもちゃんと説明しない、あるいはできないというならば、その先生はアウトです。

     一方、弁護士側も自覚しなければならないと感じることもありました。個別的な細かな事情まで踏み込んではいないのですが、市民の話を聞いていて、おそらく弁護士側にいろいろと言い分があるだろうととれるケースは沢山ありました。ただ、それを含めて。説明不足、もっといえば、意志疎通に起因するものが根本にあるように思えました。

     よく苦情の中でこんな言い方も耳にしました。

     「うちの先生は、相手側に向かっていろいろと言ってくれるのではなく、こちらに向かって妥協を求めることばかり言ってくる」

     民事裁判で相手方弁護士とこちらの弁護士が話し合い、両弁護士が回れ右をして、互いの依頼者へ落とし所についての説得を試みる。それが、どうも同じ釜の飯を食ったらしい弁護士同士で、「この辺」でといった裏取引をしているといった姿に映り、不信感につながっている面もあるようです。

     弁護士は、意思疎通と説明によって誤解を取り除く努力とかサービス精神に、さらに気を遣わなければなりません。

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    河野真樹

    Author:河野真樹
    司法ジャーナリスト。法律家向け専門紙「週刊法律新聞」の記者・編集長として約30年間活動。コラム「飛耳長目」執筆。2010年7月末で独立。司法の真の姿を伝えることを目指すとともに、司法に関する開かれた発言の場を提供する、投稿・言論サイト「司法ウオッチ」主宰。http://www.shihouwatch.com/
    妻・一女一男とともに神奈川県鎌倉市在住。

    旧ブログタイトル「元『法律新聞』編集長の弁護士観察日記」


    河野真樹
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