弁護士「商法」の危険度

     詐欺的商法の手口を見ても、多くの場合、自分はひっかからないと感じる人は少なくありません。こんなお粗末な手口で誰がひっかかるのか、怪しいことは分かるだろ、と。あるいは、そんな見方から、被害者の脇の甘さの方を責める人もいますし、ひいては「騙される方が悪い」的な論調にもつながったりします。

     しかし、現実的には詐欺の手口は巧妙でないことが、被害を生まないことに必ずしもつながりません。というよりも、多くの人に詐欺と見破られることを百も承知で仕掛けてくるものがいくらもあります。100人に1人、1000人に1人、ひっかかってくれれば、彼らにとって成功というやり口です。気の弱い人間、動揺しやすい人間、はたまた情報弱者が、結果として、その1人になってしまうかもしれません。

     したがって、そうした手口の被害を防ぐためには、より広く被害者になる市民に情報を周知させるとともに、できるだけ仕掛けてくる側をそうした手口に手を染めなくさせる、染めることができなくさせるシステムや環境が作られることが望ましことはいうまでもありません。

      「弁護士の悪徳商法」

     最近、弁護士とみられる方のブログの、こんな刺激的なタイトルに目がとまりました(「帰ってきた弁護士独立開業マーケティング」)。

      「かなりひどい商売の話を聞きますよね。お客さんを脅すようにして、高額商品を売りつけたりするんです。まさか、弁護士ではそんなにひどいのはないだろうと思っていました。しかし、先日聞いた事務所のやり方は酷いんです」

     紹介されているのは、こんな話です。痴漢の迷惑行為防止条例違反事件の初犯で、逮捕されずに、その日のうちに家に帰してもらえた案件。家に戻り、ネットで調べた法律事務所に電話で相談したところ、翌日その事務所から送られてきた手紙には、以下のような趣旨のことが書かれていたそうです。

      「このままでは逮捕される恐れがある。さらに、マスコミに情報が流れる恐れもある。今すぐ着手金を振り込めば、逮捕やマスコミ報道がされないように働きかけるので、契約しよう」

     逮捕される可能性もなく、逮捕されない限り、まずマスコミにも出ないことを百も承知で、いわば脅かして事件を受けようとしているととれます。さらに弁護士費用も高く、しかも「働きかけ」とは何をするのかも分からない話に、ブログ氏もあきれ、「立派な悪徳商法」だと。しかも、ブログ氏いわく、この法律事務所は最近出てきた刑事専門のところではなく、「弁護士を多数抱えた、それなりにしっかりした事務所」だとか。

     これが事実だとすれば、この法律事務所の手紙に書かれていたことに、冒頭の「数打ちゃ当たる」的な手口を当てはめるのは、全く無理がないように見えます。しかも弁護士のいう眉唾的な話にどれだけの人が疑問を抱くかということを考えると、あるいは前記100人に1人、1000人に1人の比ではないかもしれません。それは、一つには多くの人にはなじみのない司法の手続きであること、そしてもう一つは、いうまでもなく、それを口にしているのが、資格者である「弁護士」だからにほかなりません。

     何だかは分からないけれど、それが「弁護士」が言うことであるがゆえに、何やら専門家だけに分かる「裏技」を駆使できるのではないか、と大衆に思わせることができる、という現実があることは認めなければなりません。

      「弁護士も『人権』を守らなくて良いですから、少なくともプロのサービス業者として、最低限の誇りを持った仕事をして貰いたい」

     ブログ氏はこう結んでいます。弁護士が一サービス業者として自覚していくなかでは、こうした「プロ」としての「最低限の誇り」も持ち合わせていない人間が現れてくるということになりますが、どうもその社会では、もはや弁護士に「人権」擁護の使命を期待することを大衆は断念しなければならないような響きがあります。

     もし、どういう環境がこの社会に、こうした弁護士の登場を生み、また生まないのかというテーマが議論されるのであれば、まず、資格者としての「弁護士」であるがゆえの危険度を、他のサービス業と同一視することなく、踏まえなければならないように思います。


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    河野真樹

    Author:河野真樹
    司法ジャーナリスト。法律家向け専門紙「週刊法律新聞」の記者・編集長として約30年間活動。コラム「飛耳長目」執筆。2010年7月末で独立。司法の真の姿を伝えることを目指すとともに、司法に関する開かれた発言の場を提供する、投稿・言論サイト「司法ウオッチ」主宰。http://www.shihouwatch.com/
    妻・一女一男とともに神奈川県鎌倉市在住。

    旧ブログタイトル「元『法律新聞』編集長の弁護士観察日記」


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