日弁連法曹人口方針の潮目 

     昨年12月に日弁連の法曹人口政策会議がまとめた提言案をもとにした、日弁連の「法曹人口政策に関する基本政策」の検討が大詰めを迎えているようです。3月15日の理事会に諮られる予定と伝えられています。

     既に書きましたように、提言案では司法試験の年間合格者について、現状の約2000人を1500人に減員し、「さらなる減員」の可能性にも言及し、そのための検証項目も提示するなど、これまでになく、日弁連が合格者減に舵を切る内容になっています(「日弁連、合格『1500人』提言への動き」)。

     この内容については、議事の経過を含めて、日弁連は正式には一切対外的に発表していませんが、各単位弁護士会の意見照会を経て、提言案の一部修正はあるものの、前記内容については、大筋、原案通りで可決されるとの見通しが聞こえてきます。

     しかし、気になるのは、この内容と次期日弁連会長選挙の行方です。3月14日の再投票にもつれこんでいる同選挙では、旧主流派の山岸憲司候補と、現職の宇都宮健児候補の一騎打ちになります。現職が勝てばともかく、旧主流派が「政権」を奪還した場合、ここで示される日弁連の法曹人口に関する基本政策の今後にどう影響するのか、そのことを不安視する会員の声も聞こえてくるのです。

     もちろん、仮にその場合でも、前執行部で議事を経て可決された「基本政策」を、一転、お蔵入りにするようなことはできません。いまや旧主流派候補も「1500人」で足並みをそろえており、そこは「基本政策」として掲げることにはなります。

     ただ、会内にはこの提言について、やはり旧主流派の執行部だったならば、ここまでの内容のものはまとめられなかった、との見方が強くあります。そもそも、法曹人口政策会議の議論にも、宇都宮執行部でなければ、反「改革」派が参加することもなく、今後、旧主流派の執行部になった場合は、反「改革」派が参加できる委員会自体設置されることはない、とする声があります(武本夕香子弁護士のブログ)。

     そうした状況では、この「基本政策」のとらえ方も現実的に変わってくる可能性があります。とりわけ、前記した「さらなる減員」の可能性については、果たして検証項目に忠実に、厳密に検討がなされ、その方向が模索されるのか、疑問の余地もあります。また、既に書きましたが、需要予測が崩れ、需給ギャップが生じるなかでの弁護士急増は、「事件漁り」をするような「いびつな需要の掘り起こし」を生む危険性に言及するなど、競争と淘汰をいう経済界の主張にこれまでになく、真っ向から反し、増員によるニーズ掘り起こしの危険な一面を指摘していますが、この辺のトーンがどう維持されるのか、という問題もあります。

     ある弁護士は、もし、旧主流派の執行部になった場合、こうした提言の方向について、「改革」推進派の中にある、「これで社会に受け入れられるのか」という、世論離反脅威論ともいえるものの発言力が増すのではないか、との見方も示しています。

     大マスコミによって作られた世論状況や、また、それを国民の「意思」として忖度する報道もあります。フェアに伝えられないまま、国民の受け止め方としてくられることは、必ずしも国民のためにはなりません。「改革」論議のなかでも、時に世論離反を恐れる情勢論によって方向が決められたのではないかと疑いたくなる局面がありましたが、それが結果としても、法律専門家の役割としても、良かったのかは、かなり意見が分かれるところだと思います。

     この選挙の結果と、さらにその後の舵取りで、日弁連と弁護士の未来は、また大きく変わってくる可能性があります。


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    Author:河野真樹
    司法ジャーナリスト。法律家向け専門紙「週刊法律新聞」の記者・編集長として約30年間活動。コラム「飛耳長目」執筆。2010年7月末で独立。司法の真の姿を伝えることを目指すとともに、司法に関する開かれた発言の場を提供する、投稿・言論サイト「司法ウオッチ」主宰。http://www.shihouwatch.com/
    妻・一女一男とともに神奈川県鎌倉市在住。

    旧ブログタイトル「元『法律新聞』編集長の弁護士観察日記」


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