「閉じられた」弁護士会の議論

      「開かれた議論」といった言葉がよく聞かれるわりに、時々、首を傾げたくなることがあるのが、弁護士会の議論です。これまで取材してきても、「開かれていない」と感じることがありました。

     以前にも少し触れましたが、非常に厳しい報道管制がしかれ、最終的な執行までは、議論の経過についての報道はシャットアウトということがありました。ただ、議論がどのようになっているのか、また、その過程でどのような意見が出て、また、消えたのか、結論に至るまでの曲折もニュース価値があります。

     結論やそれにつけた提案理由だけでは分からないことはありますし、また、内部で一定の結論が出ながら、発表されなかったり、ニュアンスが変わることもあり、委員会の議論に参加していた側から不満がでることだってあります。弁護士会に限らず、さまざまな議事の参加者から、「歴史にとどめておいてほしい」といった要望を受け、記事を流したこともあります。

     ただ、そういう思いとは裏腹に、議論の経過を出されることを警戒するムードは、弁護士会にあります。一つの原因は、マスコミの報道の仕方にもあります。一つには主体の問題。内部の議論での決定をその組織全体の意思決定のように報じる形です。日弁連の委員会から出た一つの決定を、対外的に発表する場合に経る機関決定を飛び越して、日弁連方針と伝える形です。記事の中身で委員会での決定としていても、見出しが「日弁連が○○○」になることもよくあります。

     新聞記者の発想としては、二つあって、一つは「事実上日弁連だ」というとらえ方、もう一つ、少しでもニュースを先取りすることを使命としている関係上、「この方針で上も行くはず」というとらえ方、もちろんここではそうした読みがある、と強弁するかもしれません。

     議論している弁護士からすれば、まだ、最終決定ではない、という思いがありますし、こうした扱いを「不正確」ととらえることになります。とりわけ、この決定に問題があると考えている方々は、さらなる議論を期待したり、外部発表を阻止しようとしていますから、なおさらです。

     ただ、その意味では、逆の立場の方々から、そうしたマスコミ報道で流れを作るという手法もあるわけで、そこにしはしばリーク云々が取りざたされたりもします。

     しかし、こうした問題も、正直、公開を前提にしていれば、どうだったのだろうと感じることの方が多い印象です。決定の「ひとり歩き」を避けたい意向は分かりますが、前記経過報道の意味もありますし、むしろシャットアウトが結局、リークによる、与えられた材料による料理を許す形になるようにも思えます。

     さて、この日弁連の委員会の閉鎖性、秘密主義について、最近も武本夕香子弁護士が自身のブログで書かれています。日弁連法曹養成検討会議という委員会には、会員も傍聴できず、議事録へのアクセスも許されていないそうで、以前やはり非公開主義が問題となった法曹人口政策会議(「日弁連、合格『1500人』提言への動き」 「法科大学院撤退と日弁連バッシング」)よりも、秘密主義が徹底されているというのです。

     なぜなのでしょうか。そもそも一般への情報公開どころか、強制加入団体で委員以外の会員の傍聴すら認めないというのはどういうことでしょうか。

     武本弁護士によれば、この委員会は、法科大学院制度を中心とする法曹養成制度を扱う委員会で、詳細は非公開で分からないものの、以前に行われた委員会同士の意見交換会の時の議論から「法曹養成検討とは名ばかりの法科大学院中心主義・法科大学院礼賛主義に基づく委員会」と推察しています。

     このことから考えられる秘密主義の目的は一つしかありません。つまり、それは会内世論への配慮です。つまり、事前に議論経過が会内に流れると、都合が悪い、まとまらなくなるという読みであり、それは取りも直さず、多数会員の了解が得られない可能性のある方向が議論の対象になっているのを委員会関係者が自覚していることをうかがわせます。

     強制加入団体の構成員同士、非公開にしればならないものが、まして一般に公開されるわけもないわけですが、外に対してではなく内に対して報道管制を引かなければならない、というところは、いまの日弁連内のこみいった世論状況を象徴しているように見えます。


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    Author:河野真樹
    司法ジャーナリスト。法律家向け専門紙「週刊法律新聞」の記者・編集長として約30年間活動。コラム「飛耳長目」執筆。2010年7月末で独立。司法の真の姿を伝えることを目指すとともに、司法に関する開かれた発言の場を提供する、投稿・言論サイト「司法ウオッチ」主宰。http://www.shihouwatch.com/
    妻・一女一男とともに神奈川県鎌倉市在住。

    旧ブログタイトル「元『法律新聞』編集長の弁護士観察日記」


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