「良い弁護士」って、どんな弁護士?(1)

     弁護士に頼らければならなくなった時、市民にとっては、もちろんどうやったら「良い弁護士」と出会えるのか、ということが最大の課題になります。だけど、「良い弁護士」とはどんな弁護士でしょう。

     「そりゃ勝てることだよ」とか、「少しでも自分に有利な結論を導き出せる人だ」と即座に答える人もいるでしょう。そりゃそうかもしれません。だが、多くの場合、結論は弁護士だって、やってみなければ分かりません。「勝てる」「有利」の条件で、弁護士を選べることができたら苦労はしません。要は、それ以前の問題として、そうした方向へ、あなたのために、その弁護士が一生懸命やってくれるのかどうかが問題です。

     実は弁護士選びのコツや弁護士の仕事を紹介した、弁護士自身による「入門書」みたいなものは沢山出ています。参考になることはあります。だから、そこで紹介されているような知識はここで紹介してもあまり意味がないとも思います。手続的なことなど正確に弁護士の方から聞いた方がいいこともあります。

     だけど、首をかしげたくなるような内容も、これまた結構あります。とりわけ弁護士自身のことについては、「そうかあ?」言いたくなるものも少なくありません。弁護士にも、いろいろな方がいますから、おそらく同業者も「そんな弁護士ばかりじゃない」と言いたくなるような内容です。

     とにかく結論からいえば、あなたにとって「良い弁護士」とは、一にも二にも「あなたのために一生懸命になってくれる弁護士」です。もちろん、正当にですよ。正義に反することや、あなたの過剰期待にこたえることも範囲外です。

     ここでいう一生懸命というのは、大きく分けて二つ。ひとつは法律家としてやれることを尽くしていること、もうひとつはあなたに対して親身に説明・相談に応じて、親切であること、です。

     新聞社にいて、市民の声としてよく聞いたのは、「大物の先生に頼んだのに全然やってくれない」という話しです。誰かかの紹介で、「この手の裁判に強い」とか「その道の大物」と聞いてきたけど、「お弟子さんに任せっきりで、そのお弟子さんが頼れない」とか、「大先生が全然でできてくれない」という話を沢山聞きました。

     業界でも、「その道のプロ」とか「大物」といわれているのはよく聞きます。確かにずごい人はいます。ただ、おうおうにして現実は次のようなことがあります。
     ① 名声が高く、人気があるため、忙しくて、細かい事件には手がまわらない。もしくは、取捨せざるを得ない場合がある。
     ② 「その道」といっても、実は案件は千差万別で、必ずしもあなたのケースに対応して強い、得意とは限らない。
     ③ 名声にあぐらをかいて、フットワークが悪い、もしくは威張っている。
     ④ 「その道のプロ」「大物」というのは、単なる噂。もしくはたまたま自分の案件が有利に導かれた人の褒め言葉。

     要するに、「大物」という話は、必ずしもあなたにとって利になるとは限りません。学歴にすごくこだわる人がいますが、同様に弁護士としての資質は別問題といっていいです。年齢は確かに経験の違いという大きな要素にはなりますが、残念なことにフットワークには影響する場合があります。「若いからダメ」と決めつけている人も沢山いましたが、若くてもみんな一定の法的知識を有し、フォローしてくれる先輩とのつながりもあったりしますから、一生懸命やって機動力があった方がいいことだってあります。

     能力があるのに越したことはありません。だけど、本当にその弁護士が、あなたの案件にあった能力を有しているかは見分けがつきにくく、そもそもその能力をあなたのために十分発揮してくれるとは限りません。そして、なによりもどんなに能力があっても、あなたとうまくコミュニケーションがとれなくては、あなたとのコンビは空中分解です。

     「大物」「学歴」「年齢」。もちろん市民にとっては目がいくところですが、とにかく親切で一生懸命な弁護士が、大前提であることをお忘れなく。

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    河野真樹

    Author:河野真樹
    司法ジャーナリスト。法律家向け専門紙「週刊法律新聞」の記者・編集長として約30年間活動。コラム「飛耳長目」執筆。2010年7月末で独立。司法の真の姿を伝えることを目指すとともに、司法に関する開かれた発言の場を提供する、投稿・言論サイト「司法ウオッチ」主宰。http://www.shihouwatch.com/
    妻・一女一男とともに神奈川県鎌倉市在住。

    旧ブログタイトル「元『法律新聞』編集長の弁護士観察日記」


    河野真樹
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