「顔」が見れない弁護士の受け止められ方

    「弁護士は顔で選ぶ」などと言ったならば、さすがに何を言っているんだ、という声が出てきそうです。当然のことです。顔かたちだけでは、弁護士の能力は判断できません。そんなところで選ばれたならば、たまらないという弁護士の方もいるとは思います。

     ただ、逆に市民が弁護士探し・選びをするときに、弁護士の顔写真が判断材料になっていないかと言われれば、いないというのはいささか違うと思います。実は、ここは弁護士が考えている以上に、依頼者・市民が気にするところなのです。

     以前、私が在籍した新聞社では、弁護士の写真と経歴のついた出版物を長く出版しており、私もその編集に1980年代からずっと関与していました。その間、この書籍に関連して、度々、弁護士を探している市民からの声を聞くことがありました。そのなかで、昔から現在まで、非常に多い問い合わせは、この弁護士の顔写真に関することでした。

     「なぜ、○○弁護士は顔を出していないのですか」

     この書籍には、顔写真を公開している部と、非公開の部がありました。写真を含め、この本に出でいるすべての情報は、弁護士本人から提供してもらったもので、もちろん写真の掲載の有無についても、ご本人の希望によるものです。もともと「写真を掲載したくない」という弁護士もいるということで、非公開の部を設けざるを得なかったのですが、読者は載っている人と載っていない人がいることが気になるのです。

     「載せていないということは、何かあるのですよね」
     「弁護士を頼むならば、写真を公開している人から選んだ方がいいですよね」

     こちらは、もちろん前記未掲載の経緯を説明して、そんなことは必ずしもいえないと説明するのですが、どこまで納得しているのかは定かでありません。もともと経歴も含め掲載は自由ですので、あくまで全面的に掲載拒否の方もいるわけですが、もちろん載っていないということであれば、読者は気にしますし、写真の掲載の有無だけでも、相当深読みされるのだということを知りました。

     また、実際に会って、写真と本人が違っていたという声も来ました。これにも事情があり、改訂の度に、新しい写真掲載を弁護士に求めるのですが、「忙しいから前のものを使って」とか「若いときのものの方がいいや」とか、「今は上の方が少しさびしくなってしまったんで」といった理由で、あくまでご本人の希望でそのままというケースがあったのです。

     そもそもこの本が写真をあえて掲載していたのは、顔写真が本人特定に最も効果的だからであり、なりすましの被害防止のため有効と判断したからです。だから、写真自体の写りそのものは、関係ないといえなくはないのですが、市民からすれば、公開されているものと、会った人間との違いは、決して良い印象ではなく、当然に更新しているだろうという意識でみてしまいがちなので、これも深読みを許すことにもなりかねません。

     依頼者・市民の立場で考えれば、単純に考えても、「どんな感じの先生だろう」ということを少しでも知りたい心情は理解できます。紛争解決までのパートナーになるかもしれない存在なので、タイプがあわない弁護士とでは、結局、空中分解になる危険もありますから、どうしてもあわないと感じる弁護士と組むことはお薦めしませんが、写真もそのタイプを知るための最初の手がかりの一つになることは否定できません。

     もちろん、いうまでもないことですが、顔写真で弁護士のタイプや能力を見抜くことを前提とした弁護士選びの指南がいいわけがありません。現に、前記新聞社時代にも、「顔は怖い先生でしたが、とても親切でやさしい方でした」といった、良い想定外の声も少なからずありました。

     弁護士は、もともと顔写真を公開することに、どちらかといえば、消極的であったように思います。ただ、前記書籍の未掲載の判断にしても、実は以前公開された写真が中傷ビラで使われるなど、実際に業務妨害に利用された経験を持ち、慎重な対応をしている弁護士の方もおり、一概に掲載を希望しないことを「心得違い」的に言うこともできません。

     ただ、一方で、「敷居が高い」といわれて続けている弁護側としては、市民のアクセス障害になるような要素は、少しでも取り払うという姿勢もまた求められておかしくありません。写真を公開するか否かの判断と評価には、そのことが少なからず関係していると思います。

     前記書籍が、最初に出版された1970年代とは、状況は大きく変わりました。弁護士をネットで探す市民も増え、弁護士の写真を含む個人情報を、いまや弁護士自身がホームページで発信するケースが増えてきています。写真公開への抵抗感など、全く思いもよらない弁護士の方もいるかと思いますが、一面、ネット活用を含めて、全体からすれば、依然相当な意識格差があるように思います。

     非公開主義の方も、軽視の方も、一度、この辺は考えてみるべきだと思います。


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    河野真樹

    Author:河野真樹
    司法ジャーナリスト。法律家向け専門紙「週刊法律新聞」の記者・編集長として約30年間活動。コラム「飛耳長目」執筆。2010年7月末で独立。司法の真の姿を伝えることを目指すとともに、司法に関する開かれた発言の場を提供する、投稿・言論サイト「司法ウオッチ」主宰。http://www.shihouwatch.com/
    妻・一女一男とともに神奈川県鎌倉市在住。

    旧ブログタイトル「元『法律新聞』編集長の弁護士観察日記」


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