「会費」イメージを超越した弁護士会費

     全国の弁護士会費の一覧が、法務省のホームページに発表されました。6月15日の「法曹の養成に関するフォーラム」第2回会議で、委員である宮脇淳・北海道大学公共政策大学院長が、今後の議論のために、弁護士会費等の負担について、全国弁護士会を網羅した資料の提出を日弁連に求めていたものです。

     聞きしに勝るとは、まさにこういうことでしょうか。「高い」ことで有名な弁護士会費を全国横並びで見ると、なるほどこれは庶民からすれば、もはや「会費」というイメージではありません。「弁護士」を特別視されている方々のなかにも、まさかここまでとられていると思っていなかったもおられると思います。

     一口に会費といっても、弁護士の場合、組織と名目で重層的に徴収されています。日弁連会費、日弁連特別会費、弁護士会費、弁護士会特別会費、さらにはこれらの月々の支払いのほかに、ところによっては支部・地区会費、ブロック会費が加算されています。

     これまでもいろいろ書いてきたように、弁護士会は強制加入団体で、全員が各都道府県(東京は3会、北海道は4会)ごとの弁護士会の会員であると同時に、日弁連の会員になることが強制されていますので、ここはまず二重に会費をとられます。支部・地区というのは、弁護士会本会のなかに支部があり、そこでまたそこのご事情ごとに額が違う会費が加算されていたり、さらには全国8ヶ所の高裁に対応した弁護士会連合会(ブロック会)の、これまた異なる会費が発生しているところもあります。

     まず、この一覧を見て驚くのは、なんといってもその額と格差です。登録5年目の弁護士の年間負担額で比べると最高は、山口弁護士会岩国支部の117万8400円、次いで同会山口支部の116万6400円、釧路弁護士会帯広支部の115万4400円の順で、100万円以上が7会・支部に及んでいます。

     さらに、100万円未満90万円以上が6会・支部、90万円未満80万円以上も14会支部で、これまでいわれてきたように会員数が少ない会の会員負担は高くなる大まかな傾向もありますが、その程度は各地の事情によってまちまちではあります。

     一方、最も負担が少ないのは、愛知県弁護士会の49万8000円で、実に最高額の会の二分の一以下。東京弁護士会58万4000円、第一・第二東京弁護士会がともに60万8400円、大阪弁護士会53万400円と大規模弁護士会は、いずれも負担が軽い方属します。

     これらに関しては、各地のそれぞれの判断で、ばらばらの若手に対する減免措置は講じられています。ただ、この他に会員には、登録時、やはり二重に日弁連と弁護士会の登録料などが課されますが、これまたばらばらで、合計負担額の最高は奈良弁護士会の63万円、最低が東京弁護士会、同多摩支部、千葉県弁護士会、岩手弁護士会の6万円で、これも大きな開きがあります。

     同じ弁護士という肩書で、こんなにとられているものに格差があること自体、国民は知らないと思います。もはや弁護士ご本人の解釈としては、この格差も、その地で弁護士を開業する宿命と割り切るしかないのが現実です。

    さて、ところでこの資料は、今後の「フォーラム」の議論でどういう効果が予想されるでしょうか。ある弁護士ブログ氏が、こう予想しています。

     「さあ、次は、いよいよ、高額な弁護士会費が問題になるかな。法科大学院関係者は、突っ込んでくるかもな。『経済的理由から法曹を断念することがないように』とか言ってるくせに、『オマエら、そんなに会費を払わせてるのかよ!』ってことになるわな。逆に、『弁護士というのは登録1年目からこんなに会費が払えるくらい儲かるんだな』ってことになるかな」(「PINE's page」)

     弁護士の年収の調査結果が、現実を本当に反映しているかいかんにかかわらず、「まだまだもらっている」という評価につながるなど、弁護士のなかには、納得がいかない方も大勢いるなか、これまた痛い評価が待っているのではないか、という話。会費については、これまでも書いたように、そのあり方そのものに、会員の不満が高まっています(「弁護士会『会費』の無理」 「『会費』と弁護士会の事業仕分け」)。「司法ウオッチ」の「司法ご意見板」にも「高い」という文字が並んでいます。

     「だから言ったじゃないか」。日弁連執行部に、そう突っ込む会員が現れても当然です。


    ただいま、「弁護士会の会費」についてもご意見募集中!
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    Author:河野真樹
    司法ジャーナリスト。法律家向け専門紙「週刊法律新聞」の記者・編集長として約30年間活動。コラム「飛耳長目」執筆。2010年7月末で独立。司法の真の姿を伝えることを目指すとともに、司法に関する開かれた発言の場を提供する、投稿・言論サイト「司法ウオッチ」主宰。http://www.shihouwatch.com/
    妻・一女一男とともに神奈川県鎌倉市在住。

    旧ブログタイトル「元『法律新聞』編集長の弁護士観察日記」


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