アメリカンジョークの中の弁護士

     アメリカでは弁護士はジョークの恰好のターゲットのようです。ジョークといっても軽い冗談を想像したら大間違い。これがすさまじい皮肉のオンパレードなんです。アメリカの大衆の大方の笑いはとれるのかもしれません。アメリカ人弁護士を除いては。

     ネット上でも、一部紹介されていますが、まとめてみると、こんな調子です。

     「弁護士と吸血鬼の違い。吸血鬼は夜間しか人間の生き血を吸わないが、弁護士は24時間吸う」
     「道路でのリスと弁護士の違い。車でひきそうになったら、運転手はリスなら急ブレーキ。弁護士ならアクセルを踏む。ひいてしまったら、リスなら運転手はバックして生死を確かめるが、弁護士ならバックしてもう一度ひく」

     嫌われ方が尋常じゃありません。たまたま「飛行機」絡みで、こんなのもあります。

     「弁護士ばかりを乗せた飛行機がハイジャックされた。犯人いわく、『要求をのまなければ一時間に一人釈放するぞ』」
     「昨日、飛行機がエンジン部分の事故のためニューオーク沖に墜落しました。なお、乗客には善良な弁護士は含まれていないもようです」

     なんでここまで嫌われているのでしょうか。どうもその事情は、次のような話から見えてきます。

     「依頼者『あなたは依頼料が高い弁護士だそうですね。500ドルで二つの質問に答えてもらえますか』、弁護士『もちろんいいですとも。で、二番目の質問は』」
     「弁護士の飼い犬が肉屋のローストチキンをくすねた。肉屋『あなたの飼い犬が盗んだとしたら、あなたに支払いの責任がありますよね』、弁護士『もちろん。代金はいくらでしたか』、肉屋『7ドル98セントです』。数日後、肉屋は弁護士から郵便でチキン代の小切手を受け取ったが、封筒には請求書が同封されていた。『法律に関する相談サービス150ドル』」

     どうもカネ取り主義や、カネに汚いところが嫌われているようです。

     弁護士はいまや「アメリカで最も嫌われる職業」という人もいます。その背景としていわれているのが、弁護士の激増と弁護士広告の解禁です。

     60年で5倍の弁護士増と、それがもたらした過当競争による派手な弁護士の広告と営業活動。それが、現在の弁護士の倫理低下を招き、国民からの信頼が低いその存在は、ジョークとなって大衆の皮肉めいた嘲笑の対象になっている、というわけです。

     幸いなことに、日本の弁護士はまだここまで嫌われていません。だけど、日本でも弁護士は激増中、広告も解禁され、テレビでCМを見ない日はないほどになっています。

     制度改革をいう中で、「諸外国」を持ち出すのがお得意な日本の法律家やマスコミが、度々「お手本」に持ち出すのがアメリカです。弁護士の数もアメリカに比べて、極端に少ないという人が沢山います。ちなみに弁護士一人当たりの人口比では、アメリカの280人に対し、日本は4737人(2009年版「弁護士白書」)。もっとアメリカの弁護士は、日本の弁護士以外の法律関係士業の仕事をカバーしているので、こういう単純比較が成り立たないという話もありますが。

     確かに統計的数値のうえでは、日本の弁護士はまだまだかもしれません。だけど、見方を変えると、日本の弁護士も、そろそろアメリカ並みかもしれません。アメリカンジョークになる条件を満たしてきたという意味で。

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    河野真樹

    Author:河野真樹
    司法ジャーナリスト。法律家向け専門紙「週刊法律新聞」の記者・編集長として約30年間活動。コラム「飛耳長目」執筆。2010年7月末で独立。司法の真の姿を伝えることを目指すとともに、司法に関する開かれた発言の場を提供する、投稿・言論サイト「司法ウオッチ」主宰。http://www.shihouwatch.com/
    妻・一女一男とともに神奈川県鎌倉市在住。

    旧ブログタイトル「元『法律新聞』編集長の弁護士観察日記」


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