法律相談の「不満」要素

     日本司法支援センター(法テラス)の登場や、インターネットの普及もあって、「法律相談」というもののチャンネルは、増えた感じがあります。

     ただ残念ながら、こうした「法律相談」の評判が、以前より格段によくなった、という話は残念ながら聞こえてきません。弁護士会などの相談でのアドバイスで、安心や納得されて帰られる方も、もちろんいるそうですが、不満を持たれる方が多いのも現実です。

     それは、必ずしも対応している弁護士が悪いけてはなく、相談時間が短く、相談する側は十分話した気持ちになれず、一方、相談される側もその範囲で、とりあえずのアドバイスをしている結果でもあることは、以前にも書きました(「『法律相談』というニーズ」)。

     「法律相談」に対する「不満」に反映する要素は、結局、大きく3つあると思います。

     一つは、持ちこまれた事案の難易度の差異。つまり、案件の複雑さ、解決困難さによっては、いくら優秀な弁護士でも、簡単なアドバイスはできません。逆に、その度合いによっては、それなりの解決につながる法的指南ができます。

     市民が、「法律相談、役にたったよ」あるいは「全く役に立たない」という評価をしても、「法律相談」そのものの「質」の問題とは限らないということになります。また、この点、前記した時間に関する不満とも関連します。複雑な案件ほど、前提なる事実について詳細に聞かなければならず、もちろん時間も必要になります。現実的には、そもそも限られた時間で、ぴたっとアドバイスできる案件ばかりではない、ということです。

     二つ目は、弁護士の能力です。これは、多くの説明をする必要がないかもしれません。そのままです。この場合の能力には、タイプ的なことから人当たりやサービス精神も含みます。事案の分析能力と的確な対処の判断は、根本的なことになりますが、実際は、こうした点が相談者の不満につながっている事例がないわけではありません。弁護士側が反省すべきこと、努力すべき点もあると思います。

     そして、三つ目は、相談者のタイプです。実は、弁護士の中からよく聞こえてくることですが、弁護士の口からは、あるいは最も言い出しにくい点なのかもしれません。「不満」の責任を相談者に転嫁しているようにもとられかねないからです。

     だから、あえてここで書くことにしますが、つまりは過剰期待も含めて、そもそもが「法律相談」に無理なことを持ちこんでいることを認識していないタイプ、弁護士側か誠心誠意説明しても、納得しない頑迷なタイプ、さらには自分の期待した回答がなされないことを面白くないとして批判してしまう、いわば逆ギレタイプの方もいないわけではないようです。

     最近、ある弁護士が言っていましたが、自分の意見に同意してくれる弁護士が現れるまで,何度も何度も同一案件を法律相談に持ち込む人がいるそうです。なぜ、そんなことをするかといえば、そういう人は、どうも「弁護士もこう言っていた」というお墨付きがほしいだけの場合もあるらしく、弁護士としては厄介な存在だとしていました。

     ニーズとひとくくりにしてしまいますが、結局、こうしたことまでが、入ってきてしまうのが、現実であるということかもしれません。

     ただ、過剰期待を含めた市民側の誤解という意味では、啓蒙・情報提供、あるいは広い意味での法教育の問題なのかもしれません。自分が置かれている立場について、正確に認識できるならば、法律専門家にアドバイスなんか求めない、ということにもなりますが、少なくとも、法律相談でできることの大まかなイメージを相談者がはじめから分かっているかどうか、ということで、大分展開は違うと思います。

     また、一番目の要素にもかかわりますが、法的な問題となる場合、弁護士がどうしたことを前提としなければならないのか、アドバイスができないのか、という点もあると思います。どちらかといえば、もっと「簡単ではない」という意識を持つ必要があるのかもしれません。

     この三つの要素が、どういう比率で存在しているのか、といったことは、正直、全く分かりませんし、もちろん一概にはいえません。ある意味、「不満」が生じることがあるのも、「法律相談」という仕事の宿命として割り切っておられる弁護士もいらっしゃるようですが、現実的には相談者側が認識を改めるべき点も多分にあるように思います。


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    河野真樹

    Author:河野真樹
    司法ジャーナリスト。法律家向け専門紙「週刊法律新聞」の記者・編集長として約30年間活動。コラム「飛耳長目」執筆。2010年7月末で独立。司法の真の姿を伝えることを目指すとともに、司法に関する開かれた発言の場を提供する、投稿・言論サイト「司法ウオッチ」主宰。http://www.shihouwatch.com/
    妻・一女一男とともに神奈川県鎌倉市在住。

    旧ブログタイトル「元『法律新聞』編集長の弁護士観察日記」


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