テレビが流している弁護士像 

     テレビドラマのなかに登場する弁護士の姿については、違和感をもって受け止めている弁護士の方は多いようです。所詮、ドラマ、フィクションといってしまえば、それまでですが、それはそれなりに弁護士イメージには影響していないわけではありません。弁護士からすると、そもそもその手のものは、見ないという方が多いようですが、見ていると、やはり突っ込みたくなってしまうということでしょうか。

     テレビドラマという限界はあると思いますが、やはり「刑事物」というスタイルが基本にあるように思えてなりません。刑事ではなく、検察官や弁護士を主人公にしても、要は「刑事物」の作りになってしまうということです。

     法廷シーンそのものは、ある意味、動きがなく、地味で、もちろん現実の法廷のようにリアルに描いたら、ドラマにならないかもしません。だから、結局、検察官を主人公にしても、「刑事物」と同様、捜査をして真犯人を探す存在が描かれる。一般の人には違いがわからないかもしれません。

     弁護士については、「無罪」獲得などの刑事裁判が描かれるのですが、真犯人が分からないままというのでは、やはりドラマとして成立させにくいということでしょう。やはり、弁護士も真犯人を探さなければなりません。

     結局、勧善懲悪という形で「刑事物」は描きやすく、司法関係者も主人公になった瞬間にそれに組み込まれるということです。

     もっとも、最近、あまり見かけなくなりましたが、「刑事物」の脇役の弁護士といったら、なんといっても悪役で登場することが多かったように思います。

     刑事が主人公のドラマでは、逮捕した容疑者の弁護士が警察にやってきて、刑事に向かって「すぐに釈放しなさい、これは人権問題ですぞ」といってみたり。その容疑者は、もちろん決まってドラマの最後には、真犯人であることが判明するような形になっていますので、およそ弁護士は「悪の擁護者」です。

     もちろん、これから裁判にかけられて、判決が出るまでは無罪推定で、なんて話は全くないので、この世界では逮捕=犯人=悪人ですので、考えてみたら、かなり誤解を招いても仕方がないような世界に、そもそもが組み込まれている感じです。

     企業が舞台になるもので、企業側弁護士は、どちらかというと胡散臭く描かれていることの方が多い印象です。企業の不正を隠すことに力を貸す、まさに用心棒イメージです(「弁護士は『用心棒』か」)。

     まあ、刑事物の刑事にしても、視聴者は、本物の刑事はこんなじゃないだろ、と思いながら見ている節もあるわけですが、いずれにしても、ドラマはドラマとして成立させることを最優先にしており、その意味ではリアリティを追求しているわけではない、というか、この世界のリアリティが必ずしもドラマになるわけではない、ということだろうと思います。

     ただ、かつてと大きく違うことは、同じテレビに、本物の弁護士が多数登場するようになったということです。バラエティに登場する弁護士の姿が、いまやドラマの弁護士とともに、お茶の間に流れている時代です(「『タレント弁護士』と呼ばれる人々」)。別の見方をすれば、テレビというものを通した大衆の弁護士イメージを考えるとき、この二つがいまや大きなソースになっているように思います。

     ネットにこんな書き込みがあるのを見つけました。ちょっと長くなりますが引用します。

     「最近テレビに出演する弁護士の方々がちょっとふざけすぎていませんか?
    もう少し弁護士としての社会的身分と自覚をもって、ふざけた行為は謹んでほしいです。弁護士というのは、公務員ではなく私人ですが、司法修習生のときには、私たちの税金から給料をもらい、この日本の法曹人としての精神と役割を学び、卒業後は弁護士、裁判官、検察官として、法治国家内での社会的責任を背負う義務を潜在的におわなければいけないのだと思います。・・・弁護士の方はテレビに出演して、ふざけた演技をしたり、お茶らけたり、芸能人の方に馬鹿にされてもへらへらしたりしていますよね」

    「私たちが弁護士に助けを求めるときというのは、警察でもどうにもできないような、民事的な究極な段階であることが多いです、離婚するかしないかの最後の段階、子供の親権問題、民事的に詐欺か詐欺でないかのぎりぎりな状態で金銭を騙し取られた、自分でも友人でも親でも誰も助けることができない、絶望的な状態である場合でも、弁護士の方に法的な救済を模索してもらい、依頼する場合がほとんどです。そのため、私たちは弁護士に対しても、威厳をもち、中立的な立場でいてほしいのに・・・」

     弁護士会が問題視する「品位」という問題を市民が指摘しているようにとれます。

     ちなみに、これに対する回答には、こんなものがありました。

     「『弁護士に対する厳格な印象』。そんなものは持っていません。自分はこれまで何度と無く裁判や相談等で何人かの弁護士と会ってきましたが尊敬に値する弁護士はたった一人だけでした。テレビドラマや小説等で正義の味方的なイメージを持って弁護士と会ったらがっかりすること間違いなしです(笑)。所詮弁護士も経済的活動に左右される職業でしかありません。それ以下でもそれ以上でもない、と思っています」

     そういえば、警察官・刑事については、さかんにドキュメンタリーとして「警察24時」のような、より現実の苦労や努力を伝える、イメージップに貢献するテレビ番組がありますが、弁護士についてはほとんどお見かけしません。では、「弁護士24時」がつくれば、とは思ってみましたが、その効果もさることながら、これはこれで番組として成立しない理由がありそうです。

    ただいま、「今、必要とされる弁護士」についてもご意見募集中!
    投稿サイト「司法ウオッチ」では皆様の意見を募集しています。是非、ご参加下さい。
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    河野真樹

    Author:河野真樹
    司法ジャーナリスト。法律家向け専門紙「週刊法律新聞」の記者・編集長として約30年間活動。コラム「飛耳長目」執筆。2010年7月末で独立。司法の真の姿を伝えることを目指すとともに、司法に関する開かれた発言の場を提供する、投稿・言論サイト「司法ウオッチ」主宰。http://www.shihouwatch.com/
    妻・一女一男とともに神奈川県鎌倉市在住。

    旧ブログタイトル「元『法律新聞』編集長の弁護士観察日記」


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