原発も裁判員制度もいらない

     「5・20を裁判員制度廃止記念日に!」

     東京の日比谷野外音楽堂で開かれた裁判員制度反対運動の集会に参加してきました。弁護士、労働組合関係者、市民ら主催者発表で820人が参加、次々に現状や運動の報告がなされました。

     既に報道で最高裁が今年1、2月に実施した裁判員制度の運用に関する国民の意識調査で、裁判員に「あまり参加したくない」「義務であっても参加したくない」が、は、前年比3.8ポイント増の84.0%と増加していることが伝えられていることもあり、マスコミの順調・推進報道とは裏腹に、いよいよ制度を追い詰めてきているという手ごたえが、各報告からも伝わってきました。

     実は、今回の集会で一つのポイントとなったのが、裁判員制度と原発です。

     「原発も裁判員制度もいらない」

     こうしたスローガンが、度々報告者の口から出されました。このつなげ方に意外なものを感じる方もいらっしゃるかもしれません。何の関係があるのだろうと。

     これはこじつけでも、なんでもありません。また裁判員制度反対派が、ただ単に世の中に「いらないもの」つながりで、並べただけでもありません。

     この二つには、共通の地平に立っています。それは「国策」です。

     「司法ウオッチ」連載の「裁判員制度を裁く」の執筆者で、この集会の呼びかけ人の一人である織田信夫弁護士が、報告に立たれ、的確にそれを語られました。

     裁判員制度参加を「権利」といい、憲法上も根拠のない「義務」である現実を隠ぺいする当局の姿勢。それをまた支えるのは、「国民参加」という美辞麗句であると。それは、まさに「安全」という言葉で支え、危険を覆い隠し、そして破たんした福島原発の現状と重なります。まさに、二つは、国民を欺く美辞麗句で支えた国策なのだ、ということです。

    同日付け「朝日新聞」朝刊には、東電顧問の方の発言が出ています。

     「民主的な議論を経て、国が安全基準をつくり、それにしたがって原発を建設、運転してきたわけです。『東電をつぶせ』などと大声で叫んでいる人もいるようですが、冷静な議論が必要です」

     一方で、「安全」を懸念し、いわゆる「原子力村」から村八分になった学者のこんな言葉も載っていました。

     「産業化には『原発をつくる。一定限度以上のリスクは国が肩代わりする』という国策が前提となります。『国がやる』ということから始まっているから、『やるのがいいのか、悪いのか』という話には、そもそもならない。『反原発』は即、反国家的行為とされます」

     国策という地平に立つ原発と裁判員制度は、ぐっと重なって見えてきます。「間違っていた、やめろ」という話には、すかさず「民主的」手続きがかぶせられ、反対の声を封じようとする。「反裁判員裁判」は「反国家的」という烙印が押されているかどうかは判断が分かれるにしても、「反改革」の烙印を押そうとする、マスコミ、法曹界、産業界の、いわば「裁判員制度村」も存在する――。

     集会アピールに立った高山俊吉弁護士が、原発推進の東京電力、東芝、経団連が、実は裁判員制度推進にも旗を振ってきた事実を挙げ、こう指摘しました。

     「国策の原発、国策の裁判員制度。これがこの国を悪くしている。東電はそれをしっかりと支えている。しかし裁判員制度もおしまいの時がきている。見直しの議論は、裁判員制度がダメになっていることを隠ぺいしている」

     その後、集会参加者は、各々幟り旗を掲げ、夜の銀座へとデモに繰り出して行きました。当日は公会堂がある同じ日比谷公園では、大規模な「ビール祭り」が開催中で、ジョッキ片手のビジネスマンやОLでごった返し、その歓声が轟いており、その一角で行われていた集会とのコントラストが、ある意味、異様ですらありました。

     「国策」の危険性に気が付いた者たちの声を、大衆に届かなくさせようとしていることに誰が加担してきたのか、また、しているのか。そのことにも、大衆はこだわる必要があります。そうでなければ、裁判員制度も原発同様、国民の知らない所で、ずっと危険な状態で存在し続けることになります。

    ただいま、「裁判員制度」についてもご意見募集中!
    投稿サイト「司法ウオッチ」では皆様の意見を募集しています。是非、ご参加下さい。
    http://www.shihouwatch.com/

    にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
    にほんブログ村

    にほんブログ村 その他生活ブログへ
    にほんブログ村



    人気ブログランキングへ

    スポンサーサイト

    テーマ : 弁護士の仕事
    ジャンル : 就職・お仕事





    コメントの投稿

    非公開コメント

    プロフィール

    河野真樹

    Author:河野真樹
    司法ジャーナリスト。法律家向け専門紙「週刊法律新聞」の記者・編集長として約30年間活動。コラム「飛耳長目」執筆。2010年7月末で独立。司法の真の姿を伝えることを目指すとともに、司法に関する開かれた発言の場を提供する、投稿・言論サイト「司法ウオッチ」主宰。http://www.shihouwatch.com/
    妻・一女一男とともに神奈川県鎌倉市在住。

    旧ブログタイトル「元『法律新聞』編集長の弁護士観察日記」


    河野真樹
    またまたお陰さまで第3弾!「司法改革の失敗と弁護士~弁護士観察日記Part3」
    河野真樹
    お陰さまで第2弾!「破綻する法科大学院と弁護士~弁護士観察日記Part2」
    河野真樹
    「大増員時代の弁護士~弁護士観察日記Part1」

    お買い求めは全国書店もしくは共栄書房へ。

    最新記事
    最新コメント
    最新トラックバック
    月別アーカイブ
    カテゴリ
    検索フォーム
    RSSリンクの表示
    リンク
    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    QRコード
    QR