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    資格の価値と「改革」の描き方

     資格の価値というと、この社会では、とかく取得する側のメリットばかりが注目されます。もちろん、取得の難易度、資格の経済的安定性に取得しようとする側が注目することは当然ですし、資格ビジネスの発想としても、そこが注目されるのは当然なのかもしれません。しかし、社会的な価値、存在意義として、より強調されなければいけないのは、いうまでもなく、利用者にとってのメリットです。

     資格による一定の能力保証とその社会的明示は、その業務担当者と利用者との情報の非対称性を緩和する役割を果たします。だからこそ、非対称性が大きい業務分野ほど、資格は存在価値があり、また、それが設けられている。利用者にとって、業務担当者の選択と、その業務内容の評価が困難であるからこそ、資格の存在が両者の安定した関係性、利用者にとっての利便性と安心の提供に貢献する――。

     だから、その意味で、弁護士という、利用者との情報の非対称性か大きく、利用者側の選択が困難で、かつ、その失敗が利用者側の生命・財産に決定的な影響を与える業務の資格に、難関の選抜試験と厳格な職業訓練が課されてきたことには、もちろん妥当性があったし、それは社会的な了解事項だったと思います。

     弁護士がそうした厳格な選考・訓練過程を経ることに、利用者は何の問題意識もないどころか、必要と考えておかしくない。むしろ、そうした選考・訓練過程を経て、完全にではなくとも、できるだけ資格がその能力やサービスの質を保証、担保してくれれば、それだけ利用者は当たり外れを引くリスクがなくなる。司法改革にあっては、弁護士利用者のニーズということが散々取り沙汰されましたが、その意味では、厳格な選考・訓練による、資格者の能力担保と質の均一化は、いわば利用者の最低限のニーズであるといってきました。

     「質・量ともに豊かに」を掲げながら、法曹の大量増員に踏み出した、今回の「改革」にはその意味で、はじめから危ういものがあったというべきです。「質・量」ともにとしながら、推進者の発想は「量」に傾斜していたこと、その発想を、競争・淘汰による効用論が後押ししたこと、そして、前記した資格の社会的意義からは、量産に対して、より厳格な選考過程が求められたはずの新法曹養成の中核に、実務家養成に実績のない、大学が運営する(というか大学運営という別の要素を引きずる)法科大学院が中核の位置を占めた現実があったからです。(「不安を引きずってきた増員優先の『改革』」 「司法試験合格判定への不安の本質」)

     法科大学院修了者の司法試験合格率が伸び悩み、大学の関係者からもっと合格させろ、(平均的質が低下しても)誰も困らないといった、前記競争・淘汰の「効用論」に依存した社会放出論が出されたとき、不安は的中したというより、もはやその時点で、新法曹養成に絶望的なものを感じました(「無責任な法科大学院関係者の『擁護論』」)。前記資格の社会的な役割の軽視と、厳格な選考過程の放てきとれるその発言は、もはや法曹養成の中核として適格性が問われていいものだったというべきです。資格の質の担保・保証を目標にしない、こだわらないというのであれば、即刻、法曹養成の本道プロセスからは離れてしかるべき、と言わなければなりません。

     こうした話になると、「改革」を擁護する側からは、旧司法試験体制で質が保証できていたわけではない、むしろ数を絞った前体制が、弁護士の競争を阻害し、それによる質の維持・向上を阻んできた、ということが強調されます。しかし、前記資格の役割はやはり前提的に存在しています。仮に「改革」擁護論者の立場に立つとして、そして資格の保証が完全なものではないとしても、その役割を阻害し、後方に押しやることが、本当に利用者にとって有り難い結果かが問われる必要があるはずです。いつ果てるか分からない淘汰の過程に利用者はさらされ、取り返しのつかない結果が、結局、自己責任の名のもとに利用者に回って来ることになりかねないからです。

     サービス業としての一般化という問題もあります。前記競争・淘汰の効用を資格の役割を上回るものとして強調する側は、他業種で通用している、その効用を、弁護士にそのまま当てはめ、それに反する論調を、弁護士の「保身」と決め付けます。しかし、あくまで弁護士という仕事の特殊性を認めようとしないこの主張は、前記厳格な選考過程が課されている資格の意義、あるいは業態の現実と矛盾するばかりか、利用者にとって有り難いものともいえません。

     サービス業として一般化する論者は、必ずといって、非対称性の緩和を定式通り、情報公開などの手段に委ねる主張を掲げますが、弁護士業務の特殊性、利用者との一回性の関係や利用者にとって有効な情報公開手段確保の困難性を頭から認めないものは、むしろ利用者にとって現実的な効用をもたらすものとはいえません。妙案がないまま、やはり利用者に実害が回ります(「弁護士『保身』批判が覆い隠す現実」)。

     そもそも弁護士の「保身」が強調され過ぎともいえます。弁護士を競争状態にさらしても、前記した現実からすれば、弁護士はそれほど困らない。嫌ない方をすれば、非現実的で効果のない非対称性緩和のうえに、あくまで弁護士ペースで利用者を誘導、取捨することができてしまうからです。やはり、利用者にとっては有り難くない。少なくとも、資格の厳格な保証・担保を二の次にするよりも、有り難い結果が見えている話ではないのです。

     質の悪い弁護士、利用者にとって「不当に」有り難くない弁護士はこれまでもいたと思います。そうした弁護士に遭遇し、その被害にあった側からすれば、弁護士をサービス業として一般化し、競争にさらせば、一気にそうした弁護士が退場し、利用者は良質な弁護士に出会えると描きたくなるかもしれません。ただ、残念ながら現実はそう簡単ではない。

     弁護士が数を制限した環境にあぐらをかき、本来、利用者が享受できたものを得られずにきたという描き方も、連想しやすく、また、士業努力としては勘違いも含めて反省するべきところもあったかもしれませんが、そこにすべてを当てはめることはできません。仮に弁護士が待遇的、環境的に恵まれてきた、としても、そのこと自体は、妬み、やっかみを別にすれば、利用者にとっては関係ないことです。むしろ経済的に不安定な弁護士よりも、安定した弁護士の方が安心するかもしれない。少なくとも、すべてを「競争なき」弁護士の環境と、それによる勘違いがもたらしてきたことにしても、資格の役割を後方に押しやるほどに、利用者に有り難いことがもたらされるわけではないのです。

     「改革」の目的が、もはやぶれていないかということともに、「改革」擁護者が本当に事実を伝えているのか、その結果が現実的に利用者に何をもたらすのかに、こだわり続ける必要があるはずです。


    弁護士の競争による「淘汰」という考え方についてご意見をお寄せ下さい。司法ウオッチ「司法ご意見板」http://shihouwatch.com/archives/4800

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    テーマ : 資格試験
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    No title

    >ーー川村さんは「法廷に立たない弁護士が日本にもっと居ていいはずだ」と発言されている。どういうことか。
    (略)イギリスでも同じだ。約14万人の弁護士がいるが、バリスタ(法廷弁護士)は1万人以下だ。多くの国で、法廷に立つ弁護士はむしろ少数派であることがほとんだ。訴訟というのは、弁護士の業務の中でも更に専門性の求められる特別な分野なのだ。それなのに、日本では司法制度改革後も、弁護士を全員、裁判の専門家にしようとしており、異質感を拭えない。

    イギリスの例をあげながら、その国では法廷弁護士と事務弁護士が別資格で養成も別、という基本的事実を隠蔽するという極めて不自然な態度に固執しています(知られたらそんなに困るのか?)。ここに触れるのなら、日本でも事務弁護士資格を分離しろ、司法修習は法廷弁護士だけで充分だ、と主張するのが自然なのに、このような手合いは絶対にそうしない。法廷実務家でなくても法律家なら弁護士だ? じゃあ司法書士や行政書士や社会保険労務士も「法律家」どころか「弁護士」名乗る資格があるんですか?「lawyer」すら名乗るな、お前らはせいぜいただの代書屋だ、と日弁連が言い張っているのは完全に間違いだと?

    この当時の段階で、お馴染み黒猫氏も批判の声をあげていたんですね。
    https://blog.goo.ne.jp/9605-sak/e/94d287683b8131db097d6c2b624f7012

    No title

    >え? 何度も繰り返し引用しますけど(余りにも許せない暴言だから。しかも、本人が喧伝する以上に、媒体が無批判に迎合してるだけでツッコミも何もしてないのがもっと許せん)、https://diamond.jp/articles/-/16799?page=3弁護士って訴状なんか書けなくても、裁判所になんか一切寄り付かなくても、十分すぎるほど務まるんでしょ。法律なんか全然わからなくても、英語さえ振り回してりゃ、馬鹿な大企業からいくらでもタイムチャージ騙し盗れるんじゃないんですか? そうでもなけりゃ、これほどの地位の人がこれほどしつこく言い張る説明がつきません。

    川村弁護士がインタビューでそこまでのことを言っている???

    >一体何なんですか? 渉外弁護士とかいうのは?

    ネット環境があるならそれぐらいは簡単に調べられるだろうに。

    >弁護士とかけ離れた、法律家でもなんでもない少なくとも法廷実務家とは言い難い存在のくせになんで「弁護士」を名乗るんですか?

    法廷実務家ではないとしても法律家ではあるだろう。
    「弁護士」名乗って悪いとは思わんね。

    >もうリンク貼りませんが、川村某の提灯インタビューは、どう読んでも自分たちの話を弁護士全体に一般化してるとしか理解できません。渉外とやらが非常に特殊な、カタギの弁護士とかけ離れた存在だというのなら、どうして大量にいるはずのカタギの弁護士から異論反論の大合唱が起こらないんですか。川村某はその道じゃ誰からも相手にされてない異端者だとでもいうのですか?

    カタギって・・・。

    まあ、本当に需要があるというのなら、
    川村弁護士が、業務を開拓して大量に新人を雇ったらいいよ。

    >弁護士だけは、自治の名の下に懲戒権を独占してますからね。
    明らかにおかしい弁護士をさっさと厳罰にしない、無罪放免(例えばAV出演を拒否した女性に明らかに脅迫目的の異常な賠償金を吹っ掛けて実際に提訴し、ハッタリに怯まず応戦した被害女性に完全敗訴して、重大な社会問題の存在をアピールした弁護士。完全無罪で放免されましたhttps://www.asahi.com/articles/ASK9Y5RPJK9YUTIL03J.html)かせいぜい微罪処分で済ましてるようじゃ、全員同類視されて当然でしょう。
    任侠道に反する非道を働いた構成員を組織が毎回まともに厳罰にしていたら、誰も組織そのものや不特定多数の構成員を暴力団呼ばわりしてまとめて蔑むことなんかなかったでしょうね。

    任侠道って・・・。

    No title

    不適切交渉の弁護士を懲戒処分 岡山弁護士会
    http://www.sanyonews.jp/article/773765/1/
    >弁護士会によると、妻との離婚と慰謝料を望む男性の依頼を受け、2016年2月の深夜、妻と不倫相手の密会現場を確認した後、2人をファミリーレストランに連れだし慰謝料800万円を払う合意書や離婚届などに署名、押印させた。

    これってよく2chなんかの
    「弁護士召還!その場でさっくり署名捺印!」系の(創作)話みたいな感じだけど
    真面目にこれでいけると思う弁護士いたんだな……。

    No title

    >渉外はそうなんかもしれんけど、一般的な弁護士の業務は・・・。
    >渉外の話を弁護士全体に一般化されても・・・。

    一体何なんですか? 渉外弁護士とかいうのは?
    弁護士とかけ離れた、法律家でもなんでもない少なくとも法廷実務家とは言い難い存在のくせになんで「弁護士」を名乗るんですか?
    「悪徳弁護士」はまだ法律家扱いされてますよね。弁護士の権限や技能を悪用する輩、という意味だから。現役弁護士が覚醒剤やろうが飲酒運転やろうが、法律家の権限や技能を悪用したのでない限り「悪徳弁護士」とは呼ばれない。

    もうリンク貼りませんが、川村某の提灯インタビューは、どう読んでも自分たちの話を弁護士全体に一般化してるとしか理解できません。渉外とやらが非常に特殊な、カタギの弁護士とかけ離れた存在だというのなら、どうして大量にいるはずのカタギの弁護士から異論反論の大合唱が起こらないんですか。川村某はその道じゃ誰からも相手にされてない異端者だとでもいうのですか?

    >具体的事実に基づいて明らかにおかしい弁護士を
    >個別に批判するのはいいと思いますよ。
    >ただし、不特定多数の弁護士を攻撃するのは別問題ですよね。

    弁護士だけは、自治の名の下に懲戒権を独占してますからね。
    明らかにおかしい弁護士をさっさと厳罰にしない、無罪放免(例えばAV出演を拒否した女性に明らかに脅迫目的の異常な賠償金を吹っ掛けて実際に提訴し、ハッタリに怯まず応戦した被害女性に完全敗訴して、重大な社会問題の存在をアピールした弁護士。完全無罪で放免されましたhttps://www.asahi.com/articles/ASK9Y5RPJK9YUTIL03J.html)かせいぜい微罪処分で済ましてるようじゃ、全員同類視されて当然でしょう。
    任侠道に反する非道を働いた構成員を組織が毎回まともに厳罰にしていたら、誰も組織そのものや不特定多数の構成員を暴力団呼ばわりしてまとめて蔑むことなんかなかったでしょうね。

    No title

    いやーオラびっくらこいただ
    日弁連の事務職員向けの講座が
    本年度から弁護士も受講可能(無料)
    だってよ

    >今年度からは、中央研修会および弁護士会研修の受講料を無料とし(DVD販売はこれまでどおり有料です。)、受講対象を事務職員等のほか、会員へ拡大しました。

    個人研修だと申込期間が短いから(しかも有料だし)気を付けてくれよな!
    https://www.nichibenren.or.jp/news/year/2018/180821.html

    いや、これが何を意味するかっていうと
    「事務職員の研修を無料にしたのでケチらないでくれや」
    「事務職員に指導できない弁護士がいる」
    「事務職員の分まで仕事しなければならない弁護士がいる」
    ってことやで

    それともあれか、事務職員の受講者が飽和したから単に受講対象を拡大しますってだけか。

    No title

    >弁護士って訴状なんか書けなくても、裁判所になんか一切寄り付かなくても、十分すぎるほど務まるんでしょ。

    ごく一部の意見を正しいという前提で話をされてもねぇ・・・。
    渉外はそうなんかもしれんけど、一般的な弁護士の業務は・・・。
    渉外の話を弁護士全体に一般化されても・・・。
    弁護士を攻撃する人の多くは、
    個別の意見の内容を具体的に検討することなしに、
    弁護士を攻撃するのに都合のいい意見はそのまま使い、
    弁護士を攻撃するのに都合の悪い意見には反発しているように思えます。

    >法律なんか全然わからなくても、英語さえ振り回してりゃ、馬鹿な大企業からいくらでもタイムチャージ騙し盗れるんじゃないんですか? そうでもなけりゃ、これほどの地位の人がこれほどしつこく言い張る説明がつきません。

    渉外のことはよく知りませんが、
    だとしたらやはり、顧客の側で弁護士の良し悪しを判断するのは
    困難ということでしょうね。

    >私は弁護士資格なんかありませんけど、素人目にも完全に労働法規違反の不当労働行為の後押しを平気でやって金儲けして恥じないような輩さえ批判する資格がないとは思いません。医者で例えるなら、オウム真理教附属医院にだって正規の医師免許取得者が何人もいたんですよ。今でも、癌の代替医療とか称して、プラシーボ以下の業務で高い金巻き上げてる医者が何人もいませんか?  医学部も法学部も、大学さえ出てない人でも、中等教育以下のレベルで異常なことを言い張る奴に出くわしたら、そいつはおかしいとわかりますよ。

    具体的事実に基づいて明らかにおかしい弁護士を
    個別に批判するのはいいと思いますよ。
    ただし、不特定多数の弁護士を攻撃するのは別問題ですよね。

    No title

    >合格者数濫増の結果,訴状もろくに書けない弁護士が急増しているなどという訴えには,一般の方も「そんな弁護士では意味がない」と反応して頂けました。

    え? 何度も繰り返し引用しますけど(余りにも許せない暴言だから。しかも、本人が喧伝する以上に、媒体が無批判に迎合してるだけでツッコミも何もしてないのがもっと許せん)、https://diamond.jp/articles/-/16799?page=3弁護士って訴状なんか書けなくても、裁判所になんか一切寄り付かなくても、十分すぎるほど務まるんでしょ。法律なんか全然わからなくても、英語さえ振り回してりゃ、馬鹿な大企業からいくらでもタイムチャージ騙し盗れるんじゃないんですか? そうでもなけりゃ、これほどの地位の人がこれほどしつこく言い張る説明がつきません。

    >私はもう弁護士ではありませんが,弁護士や元弁護士くらいでなければ,弁護士の質についてまともな議論をすることは困難でしょう。医師や医学部出身者以外の人が,医師の質についてまともな議論ができないのと同じことです。

    私は弁護士資格なんかありませんけど、素人目にも完全に労働法規違反の不当労働行為の後押しを平気でやって金儲けして恥じないような輩さえ批判する資格がないとは思いません。医者で例えるなら、オウム真理教附属医院にだって正規の医師免許取得者が何人もいたんですよ。今でも、癌の代替医療とか称して、プラシーボ以下の業務で高い金巻き上げてる医者が何人もいませんか?  医学部も法学部も、大学さえ出てない人でも、中等教育以下のレベルで異常なことを言い張る奴に出くわしたら、そいつはおかしいとわかりますよ。

    No title

    >世間の共感を得たいのであれば,恥と批判を覚悟の上で,その生々しい実態を公にするしかないでしょうね。

    確か、顧問先増やしてくれるっていう団体がこの前
    「現役弁護士が司法試験を解いてみた-AI時代にこれでいいのか」
    って本の出版パーティー開いてきゃっきゃうふふしていたけど
    批判もされず、生々しい実態ってゆってもこれじゃぁなあ。

    No title

    連投になりますが,法曹の「質」という曖昧な表現で物事を語ろうとするから,現実から目を逸らしたい改革推進論者や,事情のよく分からない外部の人間が変な横槍を入れてくるのでしょう。
    法曹養成制度検討会議のパブコメがあったとき,合格者数濫増の結果,訴状もろくに書けない弁護士が急増しているなどという訴えには,一般の方も「そんな弁護士では意味がない」と反応して頂けました。私自身,後輩の弁護士が依頼者への報告文すらまともに書けないという事務員の愚痴を聞かされ,愕然としたことがあります。また,訴えを起こすにあたり,あまりにも基本的な事項を分かっていない弁護士が多いことから,登録5年以内の弁護士に対する研修を実施した地方裁判所もあると聞いています。
    これらは,いずれも数年前の出来事であり,現在はもっとひどいことになっているのでしょう。だからこそ各地の単位会が法曹の「質」に言及するようになったのだと思いますが,世間の共感を得たいのであれば,恥と批判を覚悟の上で,その生々しい実態を公にするしかないでしょうね。

    No title

    > しかし、弁護士の質が低下しないようにするのは、少なくとも弁護士(会/日弁連)の責務ではないでしょうか。
     現在の制度では,どんなに質が悪くても司法試験委員会が「合格」と判定した者はほぼ全員司法修習に進むことができ,弁護修習で如何に出来が悪い修習生であっても弁護士会に「不可」の判定をする権限はありません。最後の二回試験も不合格者を出さないよう年々解きやすい試験にしていると聞いており,司法修習を修了した者に対して,その質を理由に弁護士会が弁護士登録を拒むような権限は与えられていません。
     要するに,日弁連や単位弁護士会は,弁護士の質が低下しないようにする権限をほとんど与えられていないのですから,そのような「責務」を果たすことなどできるはずがありません。

    > それに、SNSでは「質」の件に対して弁護士以外の人達が話しているとは到底思えませんが(個別リンクは貼りません)。
     私はもう弁護士ではありませんが,弁護士や元弁護士くらいでなければ,弁護士の質についてまともな議論をすることは困難でしょう。医師や医学部出身者以外の人が,医師の質についてまともな議論ができないのと同じことです。
     そのような状況だからこそ,弁護士の資格が法曹の「質」を担保するために必要だということを,この記事は語っているのだと思いますが。

    >>良質な弁護士が残る未来を望むからではなく、
    >>恨みを晴らそうと弁護士を攻撃したがるのでしょう。
    >
    > こちらもずれていると思います。不特定多数を攻撃する意味がありません。
     私も意味はないと思いますが,旧司法試験に落ちて別の進路を選んだ人などを中心に,昔から弁護士業界に恨みを抱き,不特定多数の「弁護士」という存在を攻撃してきた人は実際に相当数おり,司法改革がそうした人々の声に振り回されて推進されてきたことは,残念ながら歴史的事実です。

    No title

    > しかし、弁護士の質が低下しないようにするのは、少なくとも弁護士(会/日弁連)の責務ではないでしょうか。

     これは、弁護士はプロフェッションであり、その集団はギルドを構成するべきであるという伝統的な考え方だと思います。専門家のギルド集団において、仕事のレベルを維持する責任を引き受けようという思想に基づいています。

     しかし、1999年に始まった司法制度改革は、はっきりと、弁護士はギルドであってはならないという方針を採用しました。弁護士同士を市場で競争させるというもので、これはギルドの解体です。『河野真樹の弁護士観察日記 弁護士「ギルド批判」の役割』http://kounomaki.blog84.fc2.com/blog-entry-303.html参照。

     即ち、司法制度改革は、穏健な改革ではなく、日本の弁護士の意識を激変させる革命を目指したものだったわけです。日本の支配層は、明確にそのことを意識していたと思いますが、日弁連主流派の人達、執行部の人達は、そして大多数の弁護士は、司法制度改革を革命的なこととは意識していなかったのではないかと思われます。

     弁護士を倍増させれば、現在の弁護士のクローンのような弁護士が加わるだけで、弁護士の変質が起きるなどとは夢にも思わない人が大半だったのではないでしょうか。

     私の「法曹養成制度の改善に関する緊急提言(案)に思うこと」https://6532.teacup.com/umezou/bbs?TEACUPRBBS=26eb739259b6e893034bde5d2d6f2114&page=23&は、司法制度改革がめざす方向の危険性について私の考えを述べたものです。

     弁護士の資格の価値というのは単に経済的な価値ではありません。日本国憲法37条3項には、「刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。」と規定されています。

    1990年の犯罪防止及び犯罪者の処遇に関する第8回国連会議で採択された、弁護士の役割に関する基本原則http://2010ken.la.coocan.jp/jp/f/f9.html も参照されるべきだと思います。

    No title

    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180818-00000052-dal-ent
    https://togetter.com/li/1257671

    次の記事の題材は、大阪の逃走事件に関連して
    ・刑事弁護人に求められる(?)謎マナー
    ・ペットのえさやりまで求められる?刑事弁護に求められる善意の謎
    の二本立てでお願いしやす

    No title

    >何でも「弁護士を攻撃したい人達」のせいにしていれば楽なことでしょう。

    >しかし、弁護士の質が低下しないようにするのは、少なくとも弁護士(会/日弁連)の責務ではないでしょうか。

    従来なら合格しなかったようなところまで合格させておいて、質が低下しないようにするのは弁護士(会/日弁連)の責務だとか丸投げされてもねぇ・・・。だいたい自由競争を推進するなら競争相手にノウハウなんて教えないのが当然だろうに。

    >それに、SNSでは「質」の件に対して弁護士以外の人達が話しているとは到底思えませんが(個別リンクは貼りません)。

    それでは、何のことだか分かりませんね。

    >>良質な弁護士が残る未来を望むからではなく、
    >>恨みを晴らそうと弁護士を攻撃したがるのでしょう。

    >こちらもずれていると思います。不特定多数を攻撃する意味がありません。

    抽象的に弁護士全体を攻撃している人達は現に存在しますよね。

    >陰謀論や判定できないものに焦点をあてて攻撃対象を作るよりは、よりよくできないものかと考えたほうが生産的ではないでしょうか。

    状況をよくするための方法として最初に出てくるべきは、
    状況を悪くした改革の成果を取り除くことです。

    No title

    いや、明らかに質は悪くなってんじゃね?
    https://www.paralegal-web.jp/paracomi/data/index.php?entry_id=10374
    >申立前なんですが、従業員に未払いの給料を渡しても大丈夫ですか?
    >また従業員に支払いを請求されている場合どうすればいいですか?
    >先生が無知の為教えて頂きたいです。

    No title

    何でも「弁護士を攻撃したい人達」のせいにしていれば楽なことでしょう。

    しかし、弁護士の質が低下しないようにするのは、少なくとも弁護士(会/日弁連)の責務ではないでしょうか。
    それに、SNSでは「質」の件に対して弁護士以外の人達が話しているとは到底思えませんが(個別リンクは貼りません)。

    >良質な弁護士が残る未来を望むからではなく、
    >恨みを晴らそうと弁護士を攻撃したがるのでしょう。

    こちらもずれていると思います。不特定多数を攻撃する意味がありません。

    陰謀論や判定できないものに焦点をあてて攻撃対象を作るよりは、よりよくできないものかと考えたほうが生産的ではないでしょうか。

    No title

    >「質」「質」といいますが、質が下がっているということを証明したものもなく、単に誰かの言質を拾ったか、質そのものを測れないことをよいこととして都合よく使っているように思われます。

    業界関係者なら普通に質の低下は感じていることだと思います。
    まあ、法的スキルのない人から見れば、
    法的スキルの程度は分からないと思いますが。
    そもそも、弁護士の魅力が低下し志望者激減の状況で
    質が保たれていると考える方が不自然でしょう。
    弁護士を攻撃したい人等が、
    質そのものを客観的な数値で示すことが困難であるのをよいことに、
    質が低下している立証はないと言い張っているように思います。

    >被害にあった側が望むのは、上記のようなことではなく、ただただ自分の損害をどうにか補填してほしいということでは。
    >自分が被害を受けた⇒弁護士増やして良質な弁護士が残るような未来になりますよう……なんていうことは普通は考えないと思いますが。

    良質な弁護士が残る未来を望むからではなく、
    恨みを晴らそうと弁護士を攻撃したがるのでしょう。



    >私がかつてシアトルの事務所に在籍していた際、アメリカ人のインハウス弁護士がいました。アメリカでは弁護士資格を持った人は多く、専門性と能力差で雲泥の差が出ます。その彼の作る法律図書もほとんどが弁護士専用フォーマット集を転用したもので誰でも作れるレベルでこんな男に高額の給与を払っている意味がよくわかりませんでした。

    アメリカでは競争が激しいのでノウハウの共有がなされづらい、
    その結果、弁護士の数はいても、スキルと経験のある弁護士の数は・・・、
    という話は聞いたことがあります。

    No title

    少し古い記事で恐縮だが
    http://blogos.com/article/312020/
    >私がかつてシアトルの事務所に在籍していた際、アメリカ人のインハウス弁護士がいました。アメリカでは弁護士資格を持った人は多く、専門性と能力差で雲泥の差が出ます。その彼の作る法律図書もほとんどが弁護士専用フォーマット集を転用したもので誰でも作れるレベルでこんな男に高額の給与を払っている意味がよくわかりませんでした。

    No title

    >「改革」の目的が、もはやぶれていないかということともに、「改革」擁護者が本当に事実を伝えているのか、その結果が現実的に利用者に何をもたらすのか

    猪野弁護士のブログでシンポジウムの紹介がされていました。
    http://inotoru.blog.fc2.com/blog-entry-3561.html
    改革擁護者である先生、批判的である先生、びっくりの顔ぶれですが、話を聞く価値は十分にあると思います。
    ただ、援護者と批判者の見る世界はそれぞれ違うものですから、
    事実を伝えてもそこから見えるものは、みんな違うでしょう。

    No title

    ずいぶんと弁護士援護ありきの記事であると感じます。
    >こうした話になると、「改革」を擁護する側からは、旧司法試験体制で質が保証できていたわけではない、むしろ数を絞った前体制が、弁護士の競争を阻害し、それによる質の維持・向上を阻んできた、ということが強調されます。

    現実に、質の保証については「質」そのものの議論や、現に存在していた所謂「丙案(貴族)」問題(司法試験の受験回数が少ない者を優遇したものです)には一切触れない。それはフェアではないでしょう。「質」「質」といいますが、質が下がっているということを証明したものもなく、単に誰かの言質を拾ったか、質そのものを測れないことをよいこととして都合よく使っているように思われます。

    >質の悪い弁護士、利用者にとって「不当に」有り難くない弁護士はこれまでもいたと思います。そうした弁護士に遭遇し、その被害にあった側からすれば、弁護士をサービス業として一般化し、競争にさらせば、一気にそうした弁護士が退場し、利用者は良質な弁護士に出会えると描きたくなるかもしれません。ただ、残念ながら現実はそう簡単ではない。

    ここもただ流してしまっていますね。
    被害にあった側が望むのは、上記のようなことではなく、ただただ自分の損害をどうにか補填してほしいということでは。
    自分が被害を受けた⇒弁護士増やして良質な弁護士が残るような未来になりますよう……なんていうことは普通は考えないと思いますが。

    何かずれているような記事だと思います。他の記事の大量のコメントに触発されただけであるとすれば大変残念です。
    プロフィール

    河野真樹

    Author:河野真樹
    司法ジャーナリスト。法律家向け専門紙「週刊法律新聞」の記者・編集長として約30年間活動。コラム「飛耳長目」執筆。2010年7月末で独立。司法の真の姿を伝えることを目指すとともに、司法に関する開かれた発言の場を提供する、投稿・言論サイト「司法ウオッチ」主宰。http://www.shihouwatch.com/
    妻・一女一男とともに神奈川県鎌倉市在住。

    旧ブログタイトル「元『法律新聞』編集長の弁護士観察日記」


    河野真樹
    またまたお陰さまで第3弾!「司法改革の失敗と弁護士~弁護士観察日記Part3」
    河野真樹
    お陰さまで第2弾!「破綻する法科大学院と弁護士~弁護士観察日記Part2」
    河野真樹
    「大増員時代の弁護士~弁護士観察日記Part1」

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